2011 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける多層的政府間関係と地域の競争力に関する地理学的研究
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11J10144
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 遊志 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 経済地理学 / 地域政策 / 政府間関係 / 地域の競争力 / 競争力の極 / 国際研究者交流 / フランス |
Research Abstract |
1,フランシュ・コンテ地域圏における追加研究 修士課程で行ったフランシュ・コンテ地域圏における調査の理論的な部分の精緻化を行った.研究対象のフランシュ・コンテ地域圏は研究課題と直接的な関係はないが,この作業の実質的な内容は理論面のブラッシュアップであり,自らの研究の理論的な部分が精緻化されるとともに,研究の意義が再確認された. 2,ミディ・ピレネー地域圏における調査・研究 研究課題の中心的な対象となるミディ・ピレネー地域圏に関しては複数回の渡仏を行い,調査を進めた.現地の研究者との相談,統計資料の収集,現地の研究者らの指導を受けながらの資料収集やインタビューを含むフィールドワークを行った.この調査では,本来,国の政策である「競争力の極」政策の,地方における遂行実態を明らかにするために,地域圏政府の関係機関や政策関係者にインタビューを行った.また政策の影響を分析するために,研究対象の中心的な存在である競争力の極「アエロスパース・ヴァレー」における,政策以前と以後の企業間関係を調査した.この調査を通じて,地域圏は地方分権により経済開発の権限を保有しているが,アエロスパース・ヴァレーにおける政策の遂行に関する地域圏の影響は少なく,国の影響が大きいことが明らかになった.また,この事例をミディ・ピレネー地域圏とアキテーヌ地域圏の政策における広域連携と位置づけ,広域連携の遂行が地域圏間の関係より,国や既存の企業間関係に影響されていることを明らかにした. 3,パリ地域を対象とした研究に向けた予備調査 受け入れ研究者の指導により研究対象にパリ地域を追加し,本格的な調査を行うための予備的な調査を行った.パリ地域の研究開発関連機関のデータベースの構築を開始したほか,パリに短期滞在し,現地の研究者による研究計画についての指導や,内務省国土整備局DATARの文書センターなどでの資料収集を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は理論面を充実させることや統計分析などの部分が不十分であったが,複数回の渡仏により,ミディ・ピレネー地域圏での調査をインテンシヴに行うことができた.結果として,本来は2年間で行う予定であったミディ・ピレネー地域圏を対象とした調査を短縮し,パリ地域を研究対象として追加することができた.全体として研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究者は以前研究したフランシュ・コンテ地域圏を「産業の転換が必要な地域」,今回研究したミディ・ピレネー地域圏を「政策により発展した後進地域」と位置づけているが,受け入れ研究者の指導により,研究対象にパリ地域を追加した.パリ地域は「首都地域」として位置づけられる.これらの3地域は,政府間関係や産業の位置づけなど,競争力に関する政策に関して異なった性格を持つと予想されるが,これらの3地域を比較することで,本研究においてより深い分析が行えると考えており,パリでの調査を予定している.また,平成23年度で不十分であった理論面の充実化や統計分析も,併せて進めたい.
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Research Products
(1 results)