2012 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡キャピラリー電気泳動法を用いた新規人工核酸アプタマーの創製
Project/Area Number |
11J10396
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
笠原 勇矢 群馬大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核酸アプタマー / ランダムスクリーニング / キャピラリー電気泳動 / 架橋型核酸 / スイッチ分子 / 分子認識 |
Research Abstract |
種々の標的分子に対応できる一般性の高い人工核酸アプタマーのスクリーニング・システムの構築を目指して、CE-SELEXによるトロンビンを標的分子としたアプタマーの創出を、種々のライブラリを用いて行った。これまで、ヌクレアーゼ耐性が非常に高い核酸アナログである架橋型核酸(2',4'-BNA/LNA)を含む人工核酸アプタマーの創出は困難とされてきたが、CE-SELEX法を基盤とした独自のセレクション系の構築により、2',4'-BNA/LNAアプタマーの創出に成功した。また、2',4'-BNA/LNAプライマーに対し、N6-アミノエチルアデニンを導入した塩基部修飾チミジンや2'-フルオロデオキシグアノシンを組み合わせた人工核酸ライブラリから、トロンビンに対するキメラ型人工核酸アプタマーの創出にも成功した。 塩基修飾を含むキメラ型人工核酸アプタマーについて配列解析を行ったところ、グアニン四重鎖モチーフの出現頻度が著しく抑制され、修飾チミジンを多く含む配列モチーフの出現がみられた。それらの多くはサブナノモラーという非常に高い結合親和性を示した。さらに、結合活性に対する架橋型ヌクレオチドの効果について非平衡キャピラリー電気泳動法(NECEEM)で検証したところ、Apt#D1および#D6では、架橋型ヌクレオチドを天然型のデオキシリボヌクレオチドに置換することで完全に結合活性が失われることが分かった。架橋型ヌクレオチドは、架橋構造の改変によって外部刺激に応じて架橋部位を開/閉環できるため、環境応答性人工核酸スイッチ分子の創製が期待される。 高親和性アプタマー(Apt#D6)の結合特異性について、リゾチーム、大豆レクチン、ストレプトアビジンおよびラットトロンビンを用いて検証したところ、ラットトロンビンに対しては標的のヒトトロンビンと同等の親和性を示したものの、他の3種に対しては結合しなかった。このように、得られた人工核酸アプタマーは、高い親和性と特異性および結合活性がプライマー部分の架橋構造に大きく依存するユニークな特性を有することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標のとおり、2',4'-BNA/LNAを含む種々のライブラリから標的分子に対する人工核酸アプタマーを創出することができた。また、修飾基の効果や特異性、生体内安定性などを精査することにより、創出した人工核酸アプタマーの特性について評価することもできた。これらの結果は、ライブラリ設計の指針となることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
システムの効率化によるコスト低減や迅速化を図るために、ライブラリのさらなる最適化を行う。その上で、種々の人工核酸ライブラリを用いたスクリーニングを行い、標的分子とライブラリの組み合わせによるHit率の相関などについて考察する。さらに、特異性、ヌクレアーゼ耐性や血清中における安定性に関する測定結果も踏まえ、治療薬として高い有効性が見込まれる人工核酸アプタマーを取得する。 さらに、共同研究先に赴いてそれらのin vivo評価を行う予定である。
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