2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本農政の構造と変質 : 農業協同組合を中心として
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11J10413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
川口 航史 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本政治 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後日本に形成された農業分野における政官業の関係性と、その変化の理由、経済発展などの影響を解明することにある。農政トライアングルの構造と、その変化に注目することで、より一般的な、戦後日本の統治構造の析出を目指す。 本年度は、まず2011年6月4日に、「戦後初期農業協同組合と農政の展開」という題目で、戦前戦後・比較政治史研究フォーラム/現代政治過程研究フォーラムにおいて口頭で報告を行った。この報告は、おもに1945年から1960年前後の戦後初期における日本の農業協同組合の形成過程に焦点を当てたものである。現在の農業協同組合の在り方は自明のものではなかったということを指摘し、農業団体のあるべき姿について終戦直後には様々な構想があったが、それらが議論を経て収束していく過程を分析した。他の参加者から、自治体との関係、理論的な視座、研究の射程に関するコメントを頂いた。 2011年6月から8月まで在外研修を行い、回帰分析、最尤推定法、因果的推論などに関する理論、その応用と実践について学習し、今後の研究遂行に必要な統計的手法を習得することができた。また、参加者や専門家、研究者との議論の中から、今後の研究の方向性について示唆を得た。 本年度は1960年代から1970年代初頭の農政の3アクター(農協・農林省・政治家)の動向を調査した。具体的には、主に研究の独立変数についての考察を深めた。この時代に特徴的な、急速な経済成長やそれに伴う労働力の流動化などに注目し、主に都市経済学の知見などを基に、人口移動や地域による就学機会・就業機会の偏在の国際比較について研究の調査を行った。それらが農村部の政治的な重要性にどのように貢献したかについても考察した。さらにそのような独立変数の背後にある変数についての考察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、終戦直後の農業協同組合について、研究会における口頭報告を行い、参加者からの様々なフィードバックを得ることで、リサーチ・クエスチョンを深化させることができ、今後の研究を遂行する上で重要な示唆を得ることができた。今年度は主に研究の独立変数についての考察を深めることができた。また、在外研究を通じて、新たな研究手法の獲得にも成功したことで、以降の研究を進めることが容易になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、1970年代半ば以降の低成長時代において農業分野のトライアングル構造がどのように変化したかを調査する。昨年度に調査した資料に加えて、「第三次全国総合開発計画」などの国土開発に関連した資料も渉猟することで、農業分野以外との関連からも農業政策の変遷をとらえる。定性的資料の渉猟を時代を下って続けながら、定量的な分析も行うことで、研究の射程を効果的に広げることを目的としている。
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Research Products
(1 results)