2012 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本農政の構造と変質:農業協同組合を中心として
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11J10413
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
川口 航史 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本政治 |
Research Abstract |
本研究の目的は、戦後日本に形成された農業分野における政官業の関係性と、その変化の理由、経済発展などの影響を解明することにある。農政トライアングルの構造と、その変化に注目することで、より一般的な、戦後日本の統治構造の析出を目指す。今年度は、理論枠組みの構築とともに、研究成果をアウトプットすることに努めた。 本年度の自著の主な公刊物は、7月に公刊された書評と、英文オンラインジャーナルに掲載された、2012年12月16日に行われた日本の衆議院の総選挙の分析である。とくに後者は、環太平洋戦略的経済連携協定をはじめとする主要な争点に関する有権者・議員の選好、主要政党間での選好の違い、今後予想される争点などについて、データに基づいた分析を行った。本研究において選挙は、利益の具現者である議員と業界団体である農業協同組合の間を、より一般的には議員と有権者の間を媒介する重要なチャンネルの一つとして重要な役割を果たしていると考えられ、研究遂行中に衆議院の解散があったことは、研究を進める上でよい機会となった。 現在、選挙制度が外交政策に与える影響を分析した論稿を準備中である。本論稿は日本の農業政策を事例としており、この研究を進めるで、本研究の主要な部分の一つを占める90年代以降の農政トライアングルの在り方について、立体的な分析を行うことが可能になり、成果を得ることができると考えている。現在、有権者の投票行動に関するデータの渉猟、それらの整理、分析を進めており、2013度中に学会誌に投稿することを目標としている。 12月の衆議院総選挙に関する調査に受入研究者とともに従事することにより最新のデータを収集・利用することができたため、本研究にとって重要な変数である議員・立候補者の農業政策における選好に関する重要なデータが得られ大変有益であった。その他、先行研究の渉猟と自分の議論のフレームワークの構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、衆議院議員総選挙が行われたこともあり、当初の予定以上に研究に必要なデータを収集することができた。また、研究に必要な手法の習得も順調に進んだ。研究報告はなかったものの、論文の形で研究の成果を公表することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は最終年度にあたるので、当初の予定どおり、1990年代初頭から現在までを範囲として研究を行う。バブル崩壊による景気の悪化や非自民連立政権の誕生といった外的要因に対して、農業団体からどのような反応がなされたかを調査する。政治家の動向は、政権交代や連立の組み替えなど政治変動が激しく複雑であるために、新聞、雑誌、国会や審議会の議事録、各党の政策、インタビューや手記などの資料をもとに重点的に調査される。
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Research Products
(2 results)