2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J10609
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 観自 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(DC1)
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Keywords | メンタルモデル / 転移 / 系列学習 / 潜在的転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人のメンタルモデル転移の特性およびメカニズムを明らかにすることである。メンタルモデルとは、人が対象に対して持つ心的表象(イメージ)や知識を意味しており、日常生活の中で人は常にメンタルモデルの構築・転移をすることで円滑な行動をすることができる。 本年度は、系列学習における潜在的な転移の特性を検討することを目的に基礎的な実証研究を重ねた。まず、学習課題と転移課題の間での時間的構造の変換が潜在的転移}こ与える影響について検討したところ、時間構造の変換に気づかなくても、顕在的に認知負荷の低い規則の場合は潜在的転移が起こりやすいことを明らかにした。次の実験で、複数の規則を系列内で混合させたところ、潜在的転移が起こらなかったことから、一貫した規則の適用が潜在的転移を引き起こすために重要であることを示した。 次の研究では、空間的構造の変換が潜在的転移に与える影響について検討した。結果として、人は学習課題と転移課題の間の変換に気づかなくても、ある一定の潜在的な転移をすることができ、さらに潜在的転移の効果は課題の認知負荷の高低によって影響を受けることが示された。つまり、潜在的転移は変換に対する気づきを伴わないだけで、顕在的な転移の認知処理過程と非常に類似していることを明らかにした。 本研究の特色は、我々が日常生活で気づかずに行っている潜在的転移の特性を明らかにした点にあり、特に学習課題の時空間構造を変換した転移課題を用いることで、潜在的転移の特性を上手く抽出した認知科学的手法は独創的である。また本研究の知見は、実社会で有効に利用できる系列学習手法の開発などを通して教育現場等に今後活かされることが期待できるため、その社会的意義も大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果は、3本の学術論文として掲載された。また学会発表等を通じて多くのフィードバックを得ることができ、それらを元に、現在は新たな研究成果をまとめたものを国際誌に投稿する準備をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も初年度および2年度と同様に、認知科学的アプローチにより、本テーマ【メンタルモデル転移の顕在的・潜在的過程の解明】を明らかにしていく。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] The more/less ability, the more/less brain structure2012
Author(s)
Hosoda, C., Tanaka, K., Osu, R., Honda, M., & Hanakava, T.
Organizer
Society for Neuroscience
Place of Presentation
New Orleans, USA
Year and Date
20121013-20121017
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