2011 Fiscal Year Annual Research Report
可視光応答性を有するボール型チタニアナノバスケットの合成とそれを用いる光触媒反応
Project/Area Number |
11J10617
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
北野 翔 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン / 可視光応答型 / 選択酸化 / ナノバスケット / 金属イオン |
Research Abstract |
触媒合成において、当研究室で開発したHyCOM法を用いて酸化チタン(TiO2)を合成し、温度や保持時間を調整してTiO2の物性を精密に設計した。これらのTiO2微粒子は各種キャラクタリゼーションによって物性を解析した。溶媒の種類、pH、温度、カップリング剤の種類、方法などを変更し、ボール型チタニアナノバスケットの構築条件を検討した。 また、HyCOM法を用いたTiO2合成を行う中で、既存のグリコサーマル法を用いることで新規可視光応答型光触媒(ニオブ酸スズ)の合成に成功した。これは、当初計画していなかった新たな発見である。 新規な光触媒的有機合成反応においては、まず可視光照射下でアルコールからアルデヒドへの選択酸化反応を行った。様々な金属イオンをTiO2に修飾した光触媒を用いて、ベンズアルデヒドの選択酸化生成を行ったところ、以前に発見した高活性なロジウムイオンの他に、パラジウムイオン、ルテニウムイオンを修飾したTiO2も高い活性を示すことを新たに見出した。ルテニウムイオン修飾TiO2に関しては、これまでの他の光触媒とは異なる新たな反応挙動を示し、学術的にも非常に興味深い期待以上の結果が得られた。また、ロジウムイオン修飾TiO2では、用いるTiO2の種類を変更し、この反応系における特性を解析した。さらに、用いるアルコールの種類を拡大し実験を行ったところ、ほとんどのアルコールにおいて90%を超える高い収率を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属イオン修飾TiO2を用いたアルコールからアルデヒドへの選択酸化反応において、期待以上の結果と発見があったため、光触媒的有機合成反応の研究は計画より進行している。そのため触媒合成の進行度が計画と異なっているが、全体の進行度はおおむね計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒合成においては、引き続きボール型チタニアナノバスケットの合成実験を行う。その後、ボール型チタニアナノバスケットの基本性能を調べるため、水中有機物分解と水素生成反応を行った後、可視光応答化のため金属イオンを修飾する。新規光触媒的有機合成反応においては金属イオン修飾TiO2(特にルテニウムとパラジウム)による酸化反応系を詳細に解析しながら、基質の拡張を行う。
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Research Products
(9 results)