2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J10780
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 雄介 東京大学, 史料編纂所, 助教
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Keywords | 朝幕関係 / 財政 / 天皇・朝廷 / 日本近世史 |
Research Abstract |
本研究の課題は、江戸幕府から天皇・朝廷に対して行われた財政的基盤の保障や支援の実態を明らかにし、それを通じて両者の関係(=「朝幕関係」)をより具体的に解明することにある。 この点に関する先行研究の蓄積はきわめて薄く、その最大の理由は史料の欠如にあるとされてきた。そこで、本年度はまず、関連する諸史料(財政的基盤でありつづけた諸料地(禁裏料や仙洞料など)や保障・支援に深く関わった武家・公家らの記録など)の調査・閲覧・撮影を重点的に行った。具体的には、東京大学史料編纂所、東京大学総合図書館、宮内庁公文書館、宮内庁書陵部、長崎県島原市本光寺、国立公文書館などに赴いた。対象となった史料を挙げれば、「公武御用記録」・「日申御記」・島原藩松平氏文書・「俊克卿雑記草」・「廻文留」などである。さらに、研究書・史料集の中にも関連するものが一定程度存在することが判明したので、それらの購入も行った。 以上によって、少ないといわれてきた当該分野に関する史料を相当数得ることができた。研究基盤の整備が飛躍的に進行したといえる。 現在、これらの成果をもとに、「近世中後期の口向役人」(仮題、近世史研究会例会で2012年中に報告予定)などの学会報告や論文の執筆を進めている。 なお、申請者は2011年4月1日に日本学術振興会特別研究員(PD)に採用されたが、同年7月1日に、東京大学史料編纂所に就職した。そのため、同年6月30日付でPDを辞退していることを付言しておく。
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