2011 Fiscal Year Annual Research Report
科学知・科学技術の生産過程に社会的マイノリティーが参加するための方法の検討
Project/Area Number |
11J10783
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
渡部 麻衣子 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 特別研究員(PD)
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Keywords | 科学技術と社会 / 出生前検査 / 障害と社会 / 身体と技術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、科学知・科学技術の生産過程への社会的マイノリティーの参加がいかにして可能かを検討することである。そのためには、参加を困難にする要素を明らかにすると同時に、参加を可能にする方法を検討する必要がある。23年度は、(1)参加を困難にする要素を検討するための基礎となる概念枠組みを模索するための文献調査と、(2)半構造化インタビューを手法とする質的調査の開始を計画していた。 (1)については順調に進捗しており、概念枠組みとしてIan Hackingの「ループ効果概念」、また分析視座としてDavid Wrightの「障害主流化論」を援用した考察が可能と考えている。 (2)については若干進捗に遅れがある。理由として、「ダウン症を対象とした出生前診断検査技術」のみを具体的事例として、「参加を困難にする要素」と「参加を可能にする方法」の二つを検討することは難しいと判断し、考察のための具体的事例に「義手・義足の製作過程」を追加したことがある。 これまでに、「ダウン症を対象とした出生前診断検査技術」についてはインタビューの一部まで、「義手・義足の製作過程」の両方の事例についてはプレ・インタビューまでを終了している。 成果発表については、計画していた事項は全て行った。ただし、計画していたScience Technology and Human Valueへの投稿は、最終的に査読審査の段階に進むことを許可された12名中6名の参加者に選ばれなかったため、投稿先を変更し、現在Disability and Society誌での査読結果を待っているところである。また、計画通り12月4日に日本STS学会にて研究報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画のうち、「文献調査」及び「成果発表」については、計画通り順調に進展している。ただ「調査」は、調査対象となる事例をひとう追加することにしたために、若干の遅れがみられる。しかし調査対象者との関係作りを順調に進めており、プレ・インタビューを終え、一部本調査を開始することができている。総じて、本調査計画はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査対象者とこれまで築いてきた関係を保ちつつ、慎重に調査を進める予定である。 前述の通り、本研究の最終目標を達成するために対象とする事例をひとつ増やすことにしたが、これについて、今のところ特筆すべき困難は生じていない。 成果発表については、24年度10月に開催される国際学会で口頭発表を行う予定である。これに限らず、今年度以降は、国内外の学術誌、及び学術大会、セミナー等での発表を積極的に行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)