2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J10970
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
松下 清文 東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | バイオマス / 古紙 / グラファイト / ボール / 脱塩素化 / ペーパースラッジ / PVC / 塩化カルシウム |
Research Abstract |
バイオマス資源の有効活用と高機能化の研究として、幅広い分野で利用されている古紙について、高付加価値化の研究を行ってきた。古紙を原料とした炭化物のさらなる発展として、古紙原料由来の人工黒鉛製造の研究と、古紙に含まれる成分に特化した機能の付与および新規用途開発を行っている。 [グラファイト化] 古紙を原料とした炭化物をボールミルにより粉砕(0~6時間)を行い、高温雰囲気炉(1800~2000℃、1時間)にてグラファイト化を行った試料のX線回折データについて、粉砕時間に増加に伴いグラファイト化の指標となる26°付近のピークの成長を確認することができた。また、同様の実験を高温雰囲気炉内で3時間行った結果、ピークの成長が1時間処理したものと同等の結果を得たことから、高温処理時間にグラファイト化が影響を受けないことも確認した。クラフト古紙とインク由来の無機添加物を多く含む新聞古紙を比較した場合、同条件の高温処理で新聞古紙の方がピークの成長が小さいため、新聞古紙に含まれる成分がグラファイト化を阻害している可能性が示唆された。これまでの結果より、さらなるグラファイト化の検討として、原料に含まれる添加物の分離、除去と粉砕条件の最適化、触媒添加による反応促進効果について研究を行っている。 [脱塩素化] バイオマス原料に元々含まれる成分に特化した機能性炭素材料の研究として、製紙工程での廃棄物となるペーパースラッジについて、脱塩素化剤としての検討を行った。粒状化したペーパースラッジを炭化し、成分として多く含まれるカルシウムによって塩素系廃棄物焼却時の塩素を除去する研究を行った。ペーパースラッジ炭化物とPBC(ポリ塩化ビニル)の粉末を混合加熱した排気の残留塩素濃度測定結果、ペーパースラッジ炭化物に含まれるカルシウムによって、PBCの塩素が塩化カルシウムの生成により捕捉されることが確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難黒鉛化成分とされるバイオマス原料について、粉砕処理することによりグラファイト化することを確認し、グラファイト化に必要とされる高温処理の時間との関係について有益な結果を得た。しかし、目的とする電池材料の負極材への応用に至るには、さらなるグラファイト化と炭素成分以外の含有成分の除去が必要であるため、分離法について研究を行っている。また、炭素以外の成分に特化した用途として、カルシウムに着目した脱塩素化材への応用について高い性能を確認することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
バイオマス原料由来の炭素材料について、粉砕する条件の再検討を行い、より効率的なグラファイト化が得られる最適条件について研究を行う必要がある。また、バイオマス原料に含まれる利用用途の高い成分に着目し、各原料に応じて特化した機能性及び用途開発について検討する。これまでの研究成果から、製紙原料の種類に応じてペーパースラッジに含有する成分が異なるため、それぞれの原料成分に特化した用途開発とメカニカルアロイング法を用いた非加熱による脱塩素化実験について継続して研究を行う。
|