2013 Fiscal Year Annual Research Report
未成年期に被災した阪神淡路大震災被災者の睡眠健康についての疫学的研究
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11J10971
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
和田 快 高知大学, 総合人間自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | PTSD / 阪神淡路大震災 / 朝型夜型度 / 精神衛生 / 睡眠健康 / 食習慣 / 介入研究 / 疫学 |
Research Abstract |
第三年度は、第二年度に阪神淡路大震災未成年期被災者を対象に行った生活改善を目的としたリーフレットを用いた介入フィールド実験や、フィリピンのビコール地方において行ったインタビューによる質問紙調査の成果をまとめ、各種学会等で発表後、関連雑誌に投稿した。 第一年度の調査結果から、食事や光環境など、生活リズムと環境を整える取組が未成年期被災者の心的外傷度の軽減に効果的である可能性が高いことが考えられた。そこで、第二年度に、生活改善を目的としたリーフレット『「早ね、早起き、朝ごはん」3つのお得―被災者の皆さんへのメッセージ―』を作成し、睡眠日誌と共に阪神淡路大震災未成年期被災者である研究協力者(96名)に配布し、生活改善介入フィールド実験を実施した。その結果、今なおPTSD症状が残る未成年期被災者に対して、リーフレットを用いた介入がPTSD症状の緩和に効果的である可能性が示唆された。(①) また、心的外傷後ストレス障害と睡眠健康、食習慣の関係をより幅広く探る目的で、フィリピンのビコール地方において行ったインタビューによる質問紙調査(2006年11月発生の地滑り災害被災者88名を対象)の結果、被災者のPTSD症状は, 朝食時にタンパク質を多く摂取している程軽度であり, 朝食内容充実によるPTSD症状緩和の可能性を示した。(②) ①の成果はNatural Science (Vol. 6, p. 338-p. 350, 2014)に掲載され、②の成果はヨーロッパ時間生物学会議(European Biological Rhythm Society, XIII Congress, 18-22 Aug 2013, Munich, Germany)で発表した。また、本プロジェクトの基礎研究にあたる成果もJournal of Circadian Rhythms (2013,11:4)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の2つ目、3つ目の目的「1年目の疫学研究の結果を基礎とし、被災看の生活リズムと睡眠習慣を改善させる方策を提案すること」「その方策の効果を介入フィールド実験により検証すること」に関して、生活改善リーフレットを作成し、介入フィールド実験を実施するにいたり、その成果はNatural Science (Vol. 6, P. 338-P. 350, 2014)に掲載された。また4つの国内学会、1つの国際学会で研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今なおPTSD症状が残る未成年期被災者に対して、リーフレットを用いた介入がPTSD症状の緩和に効果的である可能性が示唆されたことから、特定非営利活動法人阪神高齢者・障害者支援ネットワーク理事長の黒田裕子氏と連携し、東日本大震災被災者の健康増進の為の基礎・介入研究の実現に力を注ぎたい。また、より確かな効果検証のため、フィリピン・ビコール地方の地滑り災害被災者を対象に、フィールド介入調査を実施出来ればと考えている。それにより、心的外傷後ストレス障害と睡眠健康、食習慣の関係把握に貢献できる。
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Research Products
(9 results)