2011 Fiscal Year Annual Research Report
切断プロファイリング解析によるカスパーゼ依存シグナル伝達ネットワーク機構の解明
Project/Area Number |
11J10973
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
清水 康平 愛媛大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | カスパーゼ / アポトーシス / プロテインカイネース / シグナル伝達 / FRET / コムギ胚芽無細胞タンパク質合成 |
Research Abstract |
カスパーゼによる基質切断が、アポトーシスの他にも炎症や分化などの様々な生理過程におけるシグナル伝達の制御に重要であることが明らかとなってきたが、依然として不明確な点も多い。その最も大きな要因の一つとして、第一に未同定の基質が多数存在することが挙げられる。本研究は、カスパーゼ依存シグナル伝達機構の総体を明らかにすることを目的とし、カスパーゼの基質プロテインカイネース(PK)の網羅的な同定を試みた。 まず、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系により444種類から成るPKプロテインアレイを作製し、分子間相互作用検出技術(AlphaScreen)を応用して開発したプロテアーゼによる基質切断をハイスループット且つ高感度に検出するシステムにより、カスパーゼ3、6、7の新規基質PKをそれぞれ11、9、16種類同定した。次に、既知基質を含むそれらの切断部位を同定することにより、各種カスパーゼに対する特異性が高いと予想される切断認識配列を選出し、FRETプローブのリンカーに応用することで、特定カスパーゼの活性化の検出を可能とするプローブの開発を目指した。カスパーゼ2、3、6、7、8、9に対する切断特異性をin vitro系にて評価した結果、作製した2種プローブはそれぞれ、カスパーゼ6及び8、また、カスパーゼ8の活性化を特異的に検出することが可能であった。現在、本プローブがアポトーシス誘導時、筋分化誘導時、ウイルス感染時に示す挙動について、主にカスパーゼ3の活性化を検出するプローブとして汎用されているSCAT3.1をモデルに解析中である。また、カスパーゼ3の新規基質として同定されたTRB3について、アポトーシスの過程におけるその役割を解析した。TRB3は、ストレス条件に依存して、アポトーシス抑制的にも促進的にも作用し、その切り替えがTRB3の切断によって制御されている可能性を見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度以降に予定していたFRETプローブの作製に着手できており、目標としている特定カスパーゼの活性化を検出することが可能なプローブの開発に一部成功している。一方で、1年目に完了予定であった同定した基質の切断部位が一部未同定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
基質の切断部位を同定するために、より簡便であるという理由から予測切断部位の変異体(アラニンスキャニング)を用いた同定法を採用していたが、成功率が低い場合もあった。そのため、質量分析あるいはアミノ酸シークエンスの併用を検討する必要がある。プローブの作製及び基質の個別解析は概ね順調であり、当初の計画通り研究を遂行する予定である。
|
Research Products
(5 results)