2011 Fiscal Year Annual Research Report
高透磁率粒子添加超電導強界磁を応用した30kVA潮流同期発電機の研究
Project/Area Number |
11J11003
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
都築 啓太 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超電導材料 / バルク超電導体 / 同期回転機 / 臨界電流密度 / ピン止め中心 / 潮流発電機 / 磁性粒子 / 捕捉磁束密度 |
Research Abstract |
運搬、設置コストや整備性の観点から、実用的な海潮流エネルギー回収システムの実現には小型、軽量、低速高効率の発電を保証する同期発電機が必須である。本研究では、高温超電導体の結晶の塊である成型バルク界磁磁石を開発し、MWクラスのスケールモデルである30kVAプロトタイプを試作し、その成立性の評価・検証を行う。平成23年度の実績として、以下の内容を実施した。 1、バルク超電導体の性能向上のため、高温超電導体(GdBa_2Cu_3O_7)の溶融成長過程において、鉄系合金磁性粒子を添加することにより最適な磁束ピン止め効果を特定することを掲げた。鉄系合金磁性粒子を添加し、その超電導特性を測定した結果、添加なしのバルク体と比べて臨界電流値の向上が確認された。また外部磁場1T-2Tの実用磁場中での臨界電流の回復(セカンダリーピーク)を確認した。特にFe-Niを添加したバルク体では、1.5Tの磁場中で臨界電流値が2.5倍に向上することを確認した。 2、実用磁石特性を検証するために、成型加工機により作製された直径16mmのバルク体に静磁場を印加して着磁を行った。その結果、捕捉磁束密度分布の改善と2倍以上の捕捉磁束を確認した。これは前述の臨界電流値の向上を裏付ける結果であるとともに、回転機の特性向上が期待される。 3、磁石全体に均一な添加粒子の分散が重要である。このため走査電子顕微鏡によりミクロからナノレベルの構造組織を検証して、磁石の微細構造組織の評価検証を行った。走査型電子顕微鏡を用いた観察は東京大学物性研究所との共同利用、及びフランスのLaboratoire CRISMAT/ENSICAENとの共同研究で実施した。結果に関して、平成23年12月、JSPSの短期招聘によりProf.Jacques Noudemを招くことができ、実質を伴った多くの議論が実現できたことも成果としてあげられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の目標として掲げた、高温超電導体(GdBa_2Cu_3O_7)の溶融成長過程における最適な磁束ピン止め効果の特定に関して、鉄系粒子の添加により捕捉磁束密度が向上するなどの結果を得ることができた。結晶中の微細構造に関しては磁石全体にわたって均一な添加粒子の分散が重要である。現在までに走査電子顕微鏡によりミクロからナノレベルの構造組織を検証して、均一性を含む磁石の評価検証を行うことができた。これらの結果は、試作機界磁への実装に直ちに適用できる成果であった。また、次年度の30kVA同期型超電導発電機の開発に向けて、超電導発電機に付随する各要素技術と30kVAの発電機の概念設計を完了、回転子の試作改良研究を開始した。次年度に向けて機器設計の完成と、試作機を用いた成立性の実証試験による成果が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
超電導材料の性能向上に関して、鉄系合金磁性粒子を添加した超電導体の特性をSQUID(超電導量子干渉計)を用いて測定した際、磁場中で超電導特性が向上する現象(セカンドピーク)が確認された。このセカンドピークの出現に関しての理由は添加したNiやGaに起因するものと考えられるものの、未だ確定されていない。今後、分析型透過電子顕微鏡で測定された画像も含め、微細構造の観察結果をより精査し、要素を確定する計画である。 2年間の期間をもって推進される本研究の最終目標は、この超電導材料を利用した海潮流同期発電機に向けたスケールモデルの試作機による実証である。次年度は電気設計、機械設計からなる回転機を構成する要素技術と、バルク界磁に必要な冷却・着磁技術を融合し、実装試験により発電機の成立性の評価までを行う。
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[Journal Article] Enhancement of the Critical Current Densities and Trapped Flux of Gd-Ba-Cu-O Bulk HTS Doped With Magnetic Particles2011
Author(s)
Tsuzuki, K.; Hara, S.; Xu, Y.; Morita, M.; Teshima, H.; Yanagisawa, O.; Noudem, J.; Harnois, C.; Izumi, M.
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Journal Title
Applied Superconductivity, IEEE Transactions
Volume: VOL21
Pages: 2714-2717
DOI
Peer Reviewed
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