2011 Fiscal Year Annual Research Report
直列補償方式を用いた高効率絶縁形DC/DCコンバータの開発
Project/Area Number |
11J11026
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
宮脇 慧 長岡技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DC/DCコンバータ / 絶縁形コンバータ / 共振形コンバータ / 直列電圧補償 / 電流共振 / 双方向コンバータ |
Research Abstract |
近年,トランスを用いた絶縁形DC/DCコンバータはその需要が増加しており,これらに用いられるDC/DCコンバータを高効率化することは高いレベルで省エネルギー化を実現できる。本研究では,直列電圧補償の技術を応用し,電力変換器の高効率化・小型化・高性能化を目的とする。そのため,現在までの研究成果を基に,さらなる性能向上と,幅広い用途への適用範囲拡大を目指す。今後の研究課題として,直列補償方式を用いた絶縁形DC/DCコンバータにおける補助回路の最適化,最適設計法の確立,他アプリケーションへの適用がある。 提案する直列補償方式の実用性を高めるための具体的な研究のステップを以下に示す。 1. 出力側補償の回路方式について実用化へ向けた最適設計法の確立 2. 直列補償方式の双方向コンバータへの適用技術の確立 3. 直列補償方式を用いた双方向コンバータにおける補助回路の最適化 出力側補償の回路方式について実用化へ向けた最適設計法を確立し,回路構成とその制御法を提案し,実機検証を行った。研究成果は学会にて発表し,学術雑誌において平成23年10月に掲載された。 平成23年度は,直列補償方式の双方向コンバータへの適用技術の確立と双方向コンバータにおける補助回路の最適化について研究を行った。直流電源だけではなく,需要が増加しているスマートグリッド向けに,太陽電池やバッテリとの連系を視野に入れて開発を行った。また,アプリケーションベースで双方向コンバータの仕様を決定し,求められる仕様に対して最適な回路方式を明らかにした。最適設計にはシミュレーションをベースに導出した損失計算式を用いた。最終的に,プロトタイプを作成して実機実験を行った。その結果,48V-380V,1kWにおいて最高効率94.5%を達成し,提案方式の有用性を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究では,出力側からの補償方式を用いた回路についてまとめ,学術雑誌に掲載された。また,補助回路の最適化,最適設計法の確立を達成し,他のアプリケーションに対して直列補償方式を適用し,その有用性を実機実験により実証することができ,当初予定していた研究計画通りに進展しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては,直列補償方式は特に大容重なアプリケーションに適用することで,より高効率化や小型化において有利であるため,スマートグリッドや新エネルギー用のコンバータとして直列補償方式を用いた双方向コンバータの研究をさらに進め,研究内容をまとめて学術雑誌に投稿する予定である。 さらに,直列補償方式による絶縁形コンバータは,DC/DC変換だけにとどまらず,AC/DCコンバータにも応用展開が可能であり,DC/DCコンバータと合わせて家電製品,制御用スイッチング電源などのきわめて広い範囲に適用できる。これらに直列補償技術を適用した場合についても検討する予定である。
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