2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J11071
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 史明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | アポトーシス / メチオニン代謝 / TAG代謝 |
Research Abstract |
本研究ではショウジョウバエの遺伝学とLC-MS/MSによる代謝産物のハイスループットな定量を組み合わせた先進的な研究を発展させている。ショウジョウバエカスパーゼ活性化因子、dapaf-1変異体の体内にはサルコシンが過剰に産生されていることが明らかになった。高サルコシン表現型はgnmtの発現亢進に起因していた。gnmtは脂肪体に多く発現がみられ、SAMを消費してその量を制御しているため、dapaf-1変異体ではgnmtの発現上昇にともなってSAM量が低下している。SAMはほぼ全ての細胞内メチル化に必須の代謝産物であるため、dapaf-1変異体におけるSAM量の低下は興味深い表現型である。dapaf-1変異体にみられた酸化ストレス脆弱性はgnmtの過剰発現系統でもみられ、サルコシンの上昇、SAMの低下が生体防御に寄与することが示唆された。また、dapaf-1変異体においては飢餓ストレス時にdFoxOが過剰に活性化し、体内のトリアシルグリセロール(TAG)を短時間に消費していた。gnmtの過剰発現では飢餓ストレス脆弱性はみられなかったが、飢餓時にはサルコシンの上昇、SAMの低下がみられたため、サルコシン/SAM代謝とエネルギー代謝との間に何らかの関連がある可能性が示唆された。このような細胞死不全時にみられる様々な代謝不全、代謝変動の研究により、がんや神経変成などの病態時に個体レベルでおこる代謝変動の解明につながることが期待される。本研究の成果の一部は主に「Cold Spring Harbor Laboratory Meeting, Cell Death. 2011」で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
dapaf-1変異体ではサルコシン/メチオニン代謝の代謝異常がおこりその原因がgnmtの発現上昇であることが明らかとなった。また、トリアシルグリセロール代謝異常についても検討し、飢餓ストレスにたいする脆弱性の直接の原因を明らかにする事ができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Dapaf-1変異体で何故gnmtが上昇するのかについて組織特異的な細胞死のコントロールや、いくつかのストレス応答経路、免疫経路のコンポーネントとの二重変異体によって解析する。また、がんモデルやマウスの解析を通して、がんや細胞死不全で同様の代謝異常がおこるか、また進化的に保存された現象であるかどうかを解析する。
|
Research Products
(3 results)