2011 Fiscal Year Annual Research Report
介護職員のチームケアを阻害する組織行動学的要因および、介護学的要因
Project/Area Number |
11J11111
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
白石 旬子 日本社会事業大学, 社会福祉学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高齢者介護 / 職場 / 職員同士の「ケアの考え方」の違い / 学習・成長 |
Research Abstract |
わが国においては質の高い介護サービスの提供が期待され、それを担う人材とは専門的な知識を備えるとともに、実践を通じて成長・成熟していくことが重要である。ところが、他職員と「ケアの考え方が合わない」ことによる離職実態等、職場のなかでの「ケアの考え方」の違いにより実践者としての成長、ひいては、より良い介護実践がうまく行われていない可能性が考えられる。コンフリクト研究においては、従業員同士の意見や考え方の違いとは、組織の適切なマネジメントにより従業員の成長やパフォーマンスと肯定的な関連があることが明らかにされているが、こうした可能性も含めて、介護職場における「ケアの考え方」の違いとはこれまで深めて検討されてこなかった。そこで、本研究は、高齢者介護職場内の職員同士の「ケアの考え方」の違いに焦点をあて、その具体的内容、そのことによる職員の成長やより良い介護実践の可能性、それらの背景等について検討を行うこととした。平成23年度は、6名の介護職員(介護職経験者を含む)に「『ケアの考え方』が合わない」経験に関する面接調査を行い、以下の可能性が示唆された。 1、「ケアの考え方」の違いの具体的内容として、利用者の自立支援や尊厳の尊重に関する違い、省察しながら仕事するかどうかの違い、業務を効率的に手早くやるかどうかの違い等が挙げられた。 2、対象者は「合わない」と感じたとしても「何も言わなかった」傾向にあり、この背景には、職場での「言いにくさ」を感じていたことがあった。また、「合わない」ことを相手個人に伝えた場合には、言い争った等の感情的な対立となり、ストレスや相手への否定的な感情を高めていた。 3、一方、「合わない」と感じたことを職場で共有し、それぞれの見解を述べて話し合いを行った結果、職員がそれまでの介護実践を再考するきっかけになり、問題解決につながった場合もあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成23年度は20名程度への面接調査を予定していたが、具体的な仮説の生成および、質問項目を精査するために、6名の対象者に複数回の調査を行った。それらを踏まえて、平成24年度は、20名程度を目標に調査する予定である。本テーマをより焦点化して考えていくうえで、平成23年度の過程は、必要なものであったことから、研究全般としては、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた知見を基に、質問項目等を修正・精査し、面接調査を継続する。職場特性の観点からも本研究テーマを検討することから、平成24年度は、職場内での「ケアの考え方」の違いを通じて、職員が成長し、より良い介護実践がなされた職場での勤務経験を有する者に、その経験や背景等について調査を行うことを予定している。
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Research Products
(8 results)