2011 Fiscal Year Annual Research Report
近現代天皇制に関する宗教史学的研究―皇族表象の分析を中心に―
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11J11132
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂木 謙之介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天皇崇敬 / 皇族 / 地域社会 / ナショナリズム / 近代日本 / 近代教育 / 文学と天皇 / モダニズム |
Research Abstract |
平成23年度は研究の素地として先行論の検討と方法論の獲得、史料収集及び基礎的事項についての学会発表・論文投稿を行った。 まず方法論の獲得については授業履修・ゼミ参加・研究会・学会への参加によって特に社会学、国文学、比較文学、歴史学、民俗学及び文化研究の方法論を習得し、研究方法の下地を完成させることが出来た。また先行論の検討に関しては、古くは丸山真男や村上重良、下っては井上順孝、川村邦光、島薗進などの宗教史学的な天皇制の先行研究を収集して批判的に検証することが出来た。また政治史の知見から戦後から現代に至る天皇制研究史を整理することができたほか、文化史的検討として近代文学と天皇制に関する研究史の整理にも努めた。 史料収集に関しては、主に地域社会における皇族表象の分析を重点的に行うため、宮城県を中心に公文書館において未公刊史料の収集を行い、宮城県公文書館に関しては該当する資料についてそのほとんどをデジタルデータ化することが出来た。特に地域社会における天皇崇敬・皇族表象については同時代の中央官庁の規制のもとに為されているため、国立国会図書館・国立公文書館の公文書に関しても収集を行い、国家レヴェルでの天皇崇敬を逸脱していくような皇族崇敬の諸相を確認することが出来た。また天皇崇敬の問題を網羅的に明らかにするうえで欠かせない近代教育についても射程を広げ、各地の高等学校(群馬県立前橋高校、福岡県立修猷館高校、埼玉県立浦和高校、跡見学園)での史料収集も行った。 以上で得られた知見をもとに、日本文学協会・日本思想史研究会・宗教学会等で学会発表を行い、適宜論文化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
社会学・文学・歴史学の授業履修によって民俗学及び文化研究の方法論を習得し、研究方法の下地を完成させることが出来た。また、古くは丸山真男や村上重良、下っては井上順孝、川村邦光、島薗進などの宗教史学的な天皇制の先行研究を批判的に検証すると共に、戦後から現代に至る天皇制研究史を網羅的に整理することができた。また、史料収集に関しては、主に地域社会における皇族表象の分析を重点的に行う観点から、宮城県を中心に公文書館において未公刊史料の収集を行うことができた。 また各地の高等学校への調査によって当初の研究計画以上に史料の質的充実を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
天皇崇敬の問題を論じる上で近代における学校教育の問題は欠かすことが出来ないことを認識したため、そちらへの知見を深める。具体的には旧制中学校における校友会雑誌の検討を試みる。 また、特に地域社会と皇族を論ずる上で大正天皇第二皇子・秩父宮雍仁親王の重要性を確認したため、今後重点的に検討を加える。具体的には弘前・会津・秩父・御殿場等の秩父宮ゆかりの地における表象を分析する。 文学と天皇制の問題を考える上で学生運動の隆盛を見た1960年代・1970年代の幻想文学をめぐる言説は確認しなければならない要素であり、今後検討を要する。
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Research Products
(7 results)