2011 Fiscal Year Annual Research Report
同時的・継次的記憶課題遂行中のニューラルコネクティビティへの情動の影響
Project/Area Number |
11J40064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥畑 志帆 京都大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 同時的処理 / 継次的処理 / ニューラルコネクティビティ / 脳波 / 脳磁図 / 機能的磁気共鳴画像 / 統合解析 |
Research Abstract |
本研究では1、記憶過程中のニューラルコネクティビティ分析から同時/継次的記憶それぞれの記憶様式を支える神経基盤を明らかする、2、ニューラルコネクティビティの変化から認知機能と情動の関連の神経基盤を明らかにすることを目的としている。脳波(EEG)、脳磁界計測(MEG)及び機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて記憶課題遂行中の脳内信号を計測し、統合解析による精密な分析を行う。なお、本計画終了までには以下を目指す。1、EEG-MEG-fMRI統合解析手法の確立。2、記憶様式によって異なる神経ネットワークの存在の証明。3、情動と記憶過程とを関連づける神経基盤の解明。 本年度は提案した研究課題に基づき、記憶課題遂行中の脳波(EEG)・脳磁図(MEG)・機能的磁気共鳴画像(fMRI)計測を行った。まず研究課題「同時的・継次的記憶課題遂行中のニューラルコネクティビティ」の検討に先立ち、スタンバーグ記憶課題の継次処理課題としての妥当性確認を目的とし、刺激を同時呈示・継次呈示する2つの実験条件を設定し、実験を行った。その結果第1にEEG時間-周波数解析により、同時・継次呈示ともに後頭領域におけるα帯活動の抑制から回復に至る変動がみとめられたことから、この変動が刺激入力段階の様式によらない記憶検索を反映する活動である可能性を示唆した。第2にα帯域活動とその頭皮上分布から刺激呈示様式の差は、記億維持期間には影響するものの検索期間においては有意な差が示されないことを示した。この結果から、記憶機能の刺激入力段階における外界からの影響(刺激の同時性・継次性)、は記憶維持期間において明らかとなり、その後その影響から解放され、スタンバーグ記憶課題が本質的に要求する継次的処理に収束する記憶検索期間へのダイナミックな変遷を示唆した。次年度は統合解析に基づくコネクティビティ分析を重点的に進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複雑なヒトの脳機能を3つの最新の計測手法を用いて統合的に解析することが必要とされるため、一つ一つの計測技術と解析技術の習得が必要となるが、初年度において全ての計測手法を習得することができ、データ収集が開始できた。また最も簡便な手法である脳波に関してはすでに複数の成果発表ができており、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
統合解析に基づくニューラルコネクティビティの検討を推進するために、次年度以降の早い段階でより多くのデータをそろえる必要がある。多くの被験者に3つの脳機能計測実験に参加していただく必要があるため、年度の前半に優先的に実験を行う予定である。また実験補助者を雇用し、実験実施が潤滑に進むよう工夫する。
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Research Products
(4 results)