2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症におけるタンパク質凝集機構の解明と治療応用
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11J40114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松本 紋子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / SOD / 凝集体 |
Research Abstract |
今年度の研究では、一次元目にhigh resolution clear native PAGE (hrCN-PAGE)、二次元目にSDS-PAGEを用いた二次元電気泳動を用いることにより、家族性ALSモデルマウスの組織中において、SOD1の可溶性数量体と多量体を形成の検出に初めて成功した。さらに、それらはSOD1活性を保持していることも分かり、酵素学的にも新たな発見となった。驚くべきことに、SOD1の数量体形成は、SOD1の遺伝子異常の有無にかかわらず、野生型SOD1トランスジェニックマウスの組織中からも検出され、脊髄だけでなく肝臓や小脳からも、発症前後にかかわらず検出された。さらに、G93A変異SOD1トランスジェニックマウスの脊髄より、可溶性多量体SOD1の形成が認められた。興味深いことに、発症前は野生型/変異型のSOD1が多量体を形成し、発症後は変異型SOD1のみが多量体を形成しており、発症前に認められていたヘテロSOD1多量体の形成は検出されなかった。複数の野生型と変異型SOD1のダブルトランスジェニックマウスの実験より、野生型SOD1は変異型SOD1モデルマウスの発症を早めるが、症状の進行に影響は与えないとの結果が報告されていたが、その詳細機構は不明であり、野生型SOD1が変異型SOD1とヘテロ二量体を形成することにより、野生型SOD1のホモ二量体よりも安定化され、毒性が増すのではないかと、培養細胞実験により推測されていた。今年度の研究結果は、野生型SOD1が発症に関与するが進行には関与しないという事実を裏付ける、生体試料による初めての直接的な証拠となり、さらに二量体だけでなく、数量~多量体形成の関与も示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究成果の論文は、投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究により、発症前は野生型/変異型のSOD1が多量体を形成し、発症後は変異型SOD1のみが多量体を形成することが確認された。平成24年度は、これらの多量体が細胞に与える影響を、SOD活性の有無にも着目して検討する予定である。
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