2012 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半の日中両国におけるロシア文学受容の比較研究-ドストエフスキーを中心に
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11J40145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白井 澄世 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 中国:日本:ロシア / 鄭振鐸 / トルストイ / 耿済之 / ドストエフスキー / 李大〓 / 魯迅 |
Research Abstract |
1、論文「日中露における『サーニン』の伝播と受容」執筆に向け、『サーニン』翻訳者である鄭振鐸の文学活動の調査および上海図書館・中国国家図書館において漢訳『サーニン』版本の収集・分析、魯迅関係資料の収集・読解・分析等を行った。調査により従来三種類だとされていた漢訳『サーニン』版本が四種類存在した文学史的事実の発掘を行い、また『サーニン』が鄭振鐸の翻訳によって普及し、一九二七年以降の「革命文学」論の中で五四期の「革命の挫折」とは異なる「革命と恋愛」というテーマにおいて論じられ、その際に魯迅の『サーニン』論も変化していくことが明らかになり、一九三〇年代以降の中国でブームとなった点について比較文学的観点から考察を行った。来年度は論文を執筆する予定である。 2、・論文「一九四〇年代中国におけるドストエフスキー作品の翻訳について」執筆に向け、中国国家図書館、上海図書館、北京大学図書館等で収集した一九三〇~一九四〇年代中国のドストエフスキー関連資料の整理・分析および一九四〇年代に活躍したロシア文学者・歌済之の文学活動の調査を行った。歌済之については同年代の文学者である瞿秋白や王統照らの回憶録の調査を通じて歌済之年譜を作成し、文学史の空白であったその文学活動を跡づける作業を行った。来年度は論文を執筆する予定である。 3、・国会図書館に本研究課題「20世紀前半の日中両国におけるロシア文学受容の比較研究」に沿った論文「李大〓とトルストイズム」および「魯迅とアルツイバーシェフ『労働者シェヴィリョフ』」を含む博士論文『近代中国におけるロシア文学の受容―李大〓・魯迅・瞿秋白ら五四期知識人を中心に―』を正式提出した。その際、『トルストイズム言行録』などの日本人社会主義者関係資料の調査・分析および李大〓資料の分析を行い、日露戦争時の日中露におけるトルストイズムの伝播と展開について修正・加筆し2012年10月国会図書館に受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文執筆に向けた資料収集を終え、年譜等の基礎資料の作成も完成させた点において、当初の計画に沿って研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度の調査に基づき、「日中露における『サーニン』の伝播と受容」「一九四〇年代中国におけるドストエフスキー作品の翻訳について」というニテーマについての学会発表、論文執筆を行う。また「中国におけるドストエフスキー受容」のデータベース作成に向け、シンガポール、ロシア等国外において資料収集を行う。
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