2011 Fiscal Year Annual Research Report
医療実践における安心と安全 : 患者-医師間の合意形成に関する研究
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11J40159
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高田 理恵 (川島 理恵) 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 医療社会学 / 会話分析 / 相互行為研究 / 終末期医療 / 救急医療 / 医療現場研究 / ヘルスコミュニケーション |
Research Abstract |
本研究の目的は,(1)現代社会における医療者-患者間関係を、患者の生活世界を含んだ広義の意味での医療の中で捉え直す。(2)(1)に基づいて、「患者中心主義」をより現実に即した形で実践するための方略を明らかにすることである。 本年度の前半(平成23年4月から9月)ではカルフォルニア大学ロサンジェルス校社会学部(UCLA)言語文化相互行為研究センター(Center for Language Interaction and Culture)において客員研究員として活動した.滞在中は,同校の教授陣と医療現場における相互行為について議論を深めた。John Heritage教授(社会学)やChuck Goodwin教授(応用言語・人類学)の主催する研究会やゼミなどで発表を行い、意思決定過程についての相互行為構造の分析の整合性や理論的な妥当性についてフィードバックを頂いた。また帰国後10月以降は,主に救急医療現場のデータ収集とその分析を行った.病院において「看取り」がどのように成立しているのか,その過程について実際の映像データを収集し,詳しく分析を行った.また患者家族が救急医療の初期診療中に医師から説明を受ける場面の会話を分析し,その中で「患者の意思や利益」といったものがその場で構成されていく過程を分析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的の一つであった現代社会における医療者-患者関係を捉え直すという側面については,救急医療場面の意思決定過程を明らかにし,患者家族の関わりについて論じることで,患者の社会的側面に焦点をあてた分析が進みつつある.ただ論文・発表数に関して,投稿中の論文が受理にはいたっておらず,来年度はその点で研究がさらに進展するように努力したい.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は,さらにチーム医療や医療教育に向けた内容を充実させる予定である。現在までに得られた意思決定過程やチーム医療のプロセスに関する知見を活かし,さらにインフォームド・コンセントの運用や協動作業のあり方について議論を展開する.特にその中で医療場面における合意の意味合いについて,医療者・患者・家族それぞれの視点から検討を広げる. また引き続き海外学会などで発表を行い,海外研究者との交流を通じて,意思決定過程や患者中心医療に関する議論の発展や分析の整合性について検討を重ねていく.
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Research Products
(3 results)