2011 Fiscal Year Annual Research Report
WO_3膜を用いた車載型NO_2センサの実用化に関する研究
Project/Area Number |
11J40224
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉村 志聡 (孟 志聡) 立命館大学, 総合理工学研究機構, 特別研究員(RPD)
|
Keywords | 化学センサ / ガスセンサ / 酸化タングステン結晶 / マイクロセンサ / NO_2検知 |
Research Abstract |
種々のWO_3結晶を用いて車載型NO_2ガスセンサの実用化研究を行っている。今年度は、プロジェクトの初年度として、WO_3膜NO_2センサの作製条件の確立を目的とし、以下に示す二点を中心に研究を実施した。 1.WO_3検知膜の作製条件の確立 粒子形態の異なるWO_3(球状、ディスク状、キューボイド状、六角形状)結晶粉体の調製条件を確立した。また、マイクロインジェクターを用いてWO_3薄膜を形成するため、各種WO_3粒子の懸濁液の調製条件、成膜法、膜厚の制御手法について検討を行った。 2.WO_3マイクロセンサの試作と基本性能の評価 小型で十分な安定性・測定精度が得られるため、マイクロギャップ櫛型Au電極を作製し、WO_3マイクロセンサの電極基板とした。上記1で得られた各種WO_3粉体の懸濁液を用いてWO_3膜マイクロセンサの試作を行った。試作したWO_3マイクロセンサは、センサ特性評価装置にセットし、各種WO_3粉体と被検ガスNO_2に対するセンサ感度、応答特性の関連について検討した。 23年度において以下に示す研究成果が得られた。 1.四種のWO_3結晶を合成する際の反応温度、水熱処理温度・時間、界面活性剤濃度、PH値などの調製条件を確立し、WO_3粒子の生成条件を明らかにした。 2.各種WO_3結晶の製膜法を確立し、均質なWO_3薄膜の形成に成功した。 3.マイクロギャップ櫛型電極基板を作製し、膜厚1.5~3.0μmの各種WO_3薄膜センサを試作した。NO_2ガスに対して各種WO_3結晶とセンサ感度、応答特性の関連について評価を行った。最も優れたセンサ応答特性を示したキューボイドWO_3センサの基本特性を解明し、NO_2の連続測定の可能性について検証を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、自動車排気レベル(ppm)濃度の定量測定が可能、かつ小型・安価な車載型WO_3膜NO_2センサを開発し、その実用性能を明らかにすることである。年次計画では、初年度はNO_2センサ素子の作製条件の確立を実施内容としている。今年度は年次計画通り順調に研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究結果を踏まえて、四種のWO_3結晶のうち、NO_2に対して最も高い検知感度と優れたセンサ応答特性を示したキューボイドWO_3結晶を主に採用し、平成24年度はWO_3薄膜センサの車載用実用化の可否検証を中心に研究を進める予定である。 (1)自動車排出ガス成分に対するセンサ特性評価試験 排出ガスに含まれる様々なガス成分に対するセンサ感度や、センサ素子への共存ガス影響度の検証を実験により行う。検証は単一成分による干渉効果と混合ガスによる共存効果について行う。排出ガス成分を模擬した試験用ガスの発生装置の構築をこの段階で行う。 (2)模擬排出ガスによる長期連続測定試験 混合ガスを用いて、長期連続測定に対するセンサ感度の安定性を検証する。車載実用時にはセンサの濃度校正は難しい状況にあるため、濃度校正なしを前提として検証を行う。 (3)各種WO_3結晶の電気化学特性の検討 各種WO_3薄膜センサの応答特性の再現性について検討したうえ、WO_3結晶のガス検知機構を明らかにするため、各種WO_3結晶粒子の電気化学特性の評価を行う。
|
Research Products
(2 results)