2012 Fiscal Year Annual Research Report
WO_3膜を用いた車載型NO_2センサの実用化に関する研究
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11J40224
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉村 志聡 (孟 志聡) 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 化学センサ / ガスセンサ / 酸化タングステン / マイクロセンサ / NO_2検知 |
Research Abstract |
23年度の研究結果を踏まえ、24年度はキューボイドWO_3結晶を主に採用し、薄膜センサの車載用実用化研究において以下に示す研究内容を実施した。 1.キューボイドWO_3薄膜センサの作製条件の最適化 ・キューボイドWO_3懸濁液の分散度 ・検知膜の焼成温度によるセンサ応答特性への影響 2.WO_3センサの最適膜厚と排気ガス測定に適した動作温度の検討 ・WO_3の結晶形態とセンサ膜厚によるNO_2応答感度、応答特性の変化 ・キューボイドWO_3薄膜センサ応答特性の温度依存性と実用性能検討 3.車載応用における干渉ガスによるNO_2センサ応答への影響 24年度には以下に示す研究成果が得られた。 1.キューボイドWO_3検知膜を作製する際に使用する懸濁液の分散度、及び形成した検知膜の焼成温度によるセンサ応答特性の影響について検討した結果、センサ膜厚を再現性よく制御することができ、高感度WO_3薄膜センサの作製条件を最適化した。 2.各種WO_3センサにおける膜厚によるセンサ応答特性の変化について検証した結果、最も優れたセンサ応答特性を示すWO_3センサの粒子形態、膜厚を見出した。また、自動車排気ガス中のNO_2濃度測定に適したセンサの動作温度と実用性能について検討し、排気ガス計測におけるWO_3センサの適切な動作条件を確立した。 3.NO_2センサの車載設置を検討したうえ、試験用排ガスの発生装置の構築を行い、混合ガス成分によるNO_2応答の干渉影響の検証実験を行った。排出ガスに含まれる様々なガス成分によるNO_2センサへの干渉影響度について検証した結果、キューボイドWO_3センサが優れたNO_2検出選択性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年次計画では、24年度の研究実施内容はWO_3薄膜センサの車載用実用化の可否検証を中心としている。24年度には、(1)高感度WO_3薄膜センサの作製条件の最適化、(2)排気ガス計測に適したWO_3センサの膜厚と動作条件の確立、(3)排気ガスに含まれる様々なガス成分によるNO_2センサへの干渉影響度についての検証を行った。年次計画通り順調に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究結果より、動作温度300℃、平均膜厚が1.5μm~3.0μmのキューボイド薄膜WO_3センサが自動車排出ガス中のppmレベルのNO_2検出に適していると考えられる。このようなセンサを試作し、平成25年度に車載排ガス測定実用化とセンサの高性能化研究を進める予定である。 1.自動車排ガス実環境を模擬した混合ガス中のセンサ応答試験 自動車排出ガス成分を模擬した混合ガス及び湿度を考慮した実環境においてセンサ応答特性評価を行う。また、湿潤雰囲気中センサの安定性と長期連続測定におけるセンサ感度の安定性について検証する。 2.WO_3薄膜センサの高性能化研究 貴金属修飾によって、WO_3薄膜センサの高感度化、応答特性(応答・回復速度)の向上について検討し、センサの高性能化を試みる。 3.WO_3薄膜センサのガス検知機構の解明 ガス成分のWO_3検知膜への吸着、拡散モデルを検証し、WO_3粒子形態、薄膜の微細構造とガス吸着機構、応答特性の関連についての理論解明を行う。
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