2013 Fiscal Year Annual Research Report
色彩と視覚の共進化:紫外線色彩復元法を用いた化石貝類の表現型進化史の解明
Project/Area Number |
11J40234
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筒井 牧子 (石川 牧子) 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Keywords | 古生態学 / 海産無脊椎動物 / 食物連鎖 / 色彩パターン / 軟体動物 |
Research Abstract |
本課題研究はイタヤガイ類の"逆影"色彩パターン(背側が暗色, 腹側が明色の生物界に広く見られる背景適応)を司る貝殻色素形成の分子基盤を明らかにすることを目的として開始したが, 貝殻色素についての先行研究は, 1950年代の抽出実験から現代の分光分析による方法の出現まで長期間にわたり論文の少ない時期があり, 色素構造についても混乱していた. そこで本年はまずその研究史を総説としてまとめた. 更に, イタヤガイの色素はポリエン化合物であることが確実となったため, イタヤガイ科ホタテガイをモデルとし, 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計および2D-DIGE解析, 抗体染色により, 殻を作る組織である外套膜のポリエン分解酵素について存在を確認した. 更に, 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計によりアサリ外套膜においても酵素の存在を確認した. 機能解析までは至っていないが, 今後機能解析を含めた色彩パターン形成研究を発展させる重要な結果である. "逆影"色彩パターンについてはイタヤガイ科二枚貝類をモデルとし, 米スミソニアン博物館の収蔵本を中心に写真撮影を基に"逆影"の程度を既存の系統樹上にプロットし, 生活型(付着型 vs. 遊泳型)との相関を検討した, これによりタクソンサンプリングはほぼ完全となり, 付着型の属の殻は左右同様色彩パターンを示すのに対し, 独立に進化した遊泳種では逆影的なパターンを独立に獲得している傾向を確かめ, 更に中新世で付着型から遊泳型に生活型を変化させたイタヤガイ類の系統の紫外線色彩復元法による模様の復元を行った. 更に精密な証明のための画像データの統計的解析が終了次第, 論文としてまとめる.
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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[Journal Article] An in-silico genomic survey to annotate genes coding for early development-relevant signaling molecules in the pearl oyster Pinctada fucata.2013
Author(s)
DHE. Setiamarga, K. Shimizu, J. Kuroda, K. Inamura, K. Sato, Y. Isowa, M. Ishikawa, R. Hatori, A. Ishio, K. Kaneko, R. Maeda, K. Matsumoto, T. Nakano, I. Sarashina, S. Teruya, T. Yama-kawa, R. Zhao, N. Satoh, T. Sasaki, K. Matsuno, K. Endo.
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Journal Title
Zoological Science
Volume: 30
Pages: 877-888
Peer Reviewed
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