2011 Fiscal Year Annual Research Report
広い温度域でブルー相を形成するキラル環状二量体/二量体液晶化合物
Project/Area Number |
11J55183
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
伊藤 学 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブルー相 / らせん誘起力 / キラル環状二量体化合物 |
Research Abstract |
<液晶場に強いねじれを誘起するキラル環状二量体化合物> ブルー相発現のための強いねじれを誘起するキラルドーパント創製を目的として、剛直なねじれコンフォメーションを形成させる分子設計をしたキラル環状二量体化合物の合成および評価を行った。キラルスペーサーを2-メチル-ブタンから、より短く、かつ、かさ高い置換基の1,2-ジフェニル-エタンに変更したところ、らせん誘起力が38.4μm^<-1>から104μm^<-1>へ飛躍的に増幅することを見出し、より剛直なねじれコンフェメーションが有用であることを示した。また、メソゲン部位に光反応性シンナモイル基を導入し、紫外線照射により分子内で2つのメソゲンをねじれた状態で固定化させたところ、3分間の紫外線照射により33.4μm^<-1>から6.7μm^<-1>へ、期待に反してらせん誘起力が大幅に減少した。しかし、このように短時間の紫外線照射でらせん誘起力が大きく変化することは珍しく、その化合物が光記録コレステリックフィルムに利用できることから、このキラルドーパントの特許出願を行った。 <安定にブルー相が発現する液晶場の創製> ブルー相を安定に発現するには、ホストネマチック液晶分子の形態も重要な因子であることが予想される。そこで直線および60度折れ曲がった二量体ネマチックホスト液晶に、高いらせん誘起力を有するキラル環状二量体化合物を添加し,その混合物のブルー相温度範囲を調査した。直線二量体ネマチックホスト液晶の混合物ではブルー相温度範囲が2~3℃と非常に狭い。一方、60度折れ曲がった液晶の混合物では、ブルー相の温度範囲が約70℃と広範囲で安定に発現することを見出した。今回の場合、200℃前後と比較的高温でブルー相の安定化に成功したが、その発現温度を室温付近まで下げることが出来れば、様々な分野へブルー相の応用が容易になると期待出来る。
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Research Products
(2 results)