2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト歯根膜細胞の骨芽細胞分化におけるWNT関連遺伝子発現
Project/Area Number |
11J56252
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Research Fellow |
山田 梓 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヒト歯根膜細胞 / WNTシグナル / SFRP / 骨芽細胞分化 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
ヒト歯根膜細胞(hPDLCs)には歯周組織再生能があると言われ、再生治療への活用が期待されている。しかしながら石灰化誘導培地(OIM)でアルカリフォスファターゼ(ALP)活性が上昇する一方、BMP2(Bone morphogenetic protein 2)には反応せず、OIM+BMP2では相乗的にALP活性が上昇するなどその性質には明らかでない点も多い。そこで本研究では骨芽細胞分化に関与するWNTシグナルに注目し、hPDLCsの骨芽細胞分化におけるWNT関連遺伝子発現を検索することにより再生治療への応用の可能性を検討した。 OIMによりhPDLCsのALP活性は上昇し、WNT阻害剤であるXAV939をOIMに添加することによりALP活性は抑制されたことから、hPDLCsの骨芽細胞分化にはWNTシグナルが関与することが示唆された。またOIMによりWNTの細胞外アンタゴニストであるsecreted frizzled-related protein 3(SFRP3)の発現が有意に上昇する一方、SFRP4の発現が抑制されることが明らかとなった。リコンビナントSFRP3/4(rhSFRP3/4)またはsiSFRP3/4によりALP活性及び石灰化の変化を検討したところsiSFRP3では抑制され、一方rhSFRP4により抑制されるがsiSFRP4では上昇することから、これらSFRP3およびSFRP4がhPDLCsの骨芽細胞分化に深く関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析や、目的とする遺伝子の骨芽細胞分化における発現の変化およびタンパク発現についての解析を進めており、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにSFRP3およびSFRP4がヒト歯根膜細胞の骨芽細胞分化に関与することが示唆された。しかしながら、これらSFRPsのタンパク質間相互作用は十分に解明されていないため免疫沈降法などを用いて解明していく。 また、in vivoにおいてSFRPsが骨再生に及ぼす影響を検討するため、マウス皮下へのSFRP3およびsFRP4局所的投与による器質的変化を組織学的に評価する。さらにイヌ歯周病モデルへのSFRP3およびSFRP4局所投与による歯周組織再生量の評価や、既存の歯周組織再生療法と歯周組織再生量を比較検討する予定である。
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Research Products
(2 results)