2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J56342
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Research Institution | Nagoya University |
Research Fellow |
村田 勝寛 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 銀河進化 / 特異銀河 |
Research Abstract |
本研究は、先行研究の約10倍の観測面積であるCOSMOS領域において鎖状銀河、特に明るい鎖状銀河の大規模な探査、解析を行い、観測的にその形成進化モデルを制限することを目的としている。本年度では、研究計画の第一段階としていたCOSMOS領域のおける鎖状銀河サンプルの構築を行った。 はじめに、サンプル構築に用いる銀河の形態判断プログラムの開発に着手した。これまでの研究では鎖状銀河を定量的に分類する手法は確立されていなかったため、先行研究の鎖状銀河サンプルを再度解析することで、鎖状銀河の形態を特徴付ける定量的な指標を探すことから始めた。この過程で、先行研究の鎖状銀河サンプルには、鎖状銀河でないものも多数混入していることが明らかになったため、それらを取り除き信頼性の高い鎖状銀河サンプルをつくりなおした。このサンプルを解析した結果、鎖状銀河を特徴付ける複数のクランプの明るさ比を組み合わせることで、鎖状銀河でない銀河を取り除くことができることが分かった。 その後、開発した銀河の形態判断プログラムを用いて、COSMOS領域のおける鎖状銀河サンプルを構築した。先行研究では鎖状銀河であるかの分類は人間の目によるものであり、これが議論の客観性を損なう一因でもあった。本研究の定量的な方法での鎖状銀河のサンプル構築により、信頼性のある鎖状銀河の性質の議論が可能になる。定量的な指標で鎖状銀河を通常の銀河とを区別できることを明らかにしたのは本研究が初である。以上の研究結果に関連して、複数の学会発表(国内3、国外1)をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COSMOS領域において鎖状銀河サンプルを構築し、これに関連した結果を複数の研究会で発表することができた。2011年度中に計画していた論文化に関しては、現在準備段階であり、その点で当初計画からやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、COSMOS領域において定量的な指標を用いて鎖状銀河のサンプルを構築することができた。今後、これらのサンプル銀河の空間分布などを調べ鎖状銀河モデルを制限する。また、新たに公開される紫外線と赤外線の高解像度データを用いて、多波長での形態の違いについて調べる。特に、近赤外線での鎖状銀河の形態評価は鎖状銀河の特異な形態が星形成領域由来であるのかを判断するうえで重要である。
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Research Products
(4 results)