2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J56632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 新 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政治知識 / 教育程度 / インターネット調査 / 実験 / 政治的態度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、有権者の持つ政治に関する知識(以下では政治知識)を各有権者個体内での政治的選好形成、政治的意思決定メカニズム双方の一部として捉え、政治知識の質的側面によってそれらを峻別することを実証的に示すことにある。この目的を達成すべく、本年度は既存の世論調査データの分析、インターネット調査の実施が主たる計画となっていた。上記の計画に沿って成果を挙げる。本年度の最大の目的であるインターネット調査は、2012年3月に実施することができた。既存の研究で扱われることがなかった、政治知識の付与による政治的態度形成メカニズムを探るデザインを設計し、1500名規模のサンプルを対象に実験的コンポーネントを組み込んだ調査を行った。具体的には政治知識を測定する質問項目を盛り込み、その回答後に政治知識の質的側面に分けた形式でランダムに正しい解答を表示させ、その後にたずねる政治的態度、行動に対する影響を見ようとするものである。またこの調査では、教育程度をたずねる項目に回答者の学生時代の専攻を加え、社会的属性の持つ効果をより詳細に見ることができるように設計を試みた。この調査設計に関しては、自身が所属する大学における研究指導や、学会参加による他大学研究者とのコミュニケーションを通して、さまざまなコメント・アドバイスをいただくことで大きく改善されたと考えている。また、既存の調査データの分析に関しては、早稲田大学経済学研究科G-COE実施のインターネット調査・全国世論調査に自身(共同研究者:早稲田大学政治経済学術院助手、三村憲弘氏)のデザインした実験が組み込まれており、それを分析しており、2012年の1月にコンファレンスにおいて報告を行った。また、2012年5月に日本政治学会のポスターセッション報告が予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インターネット調査の実施が2012年3月となり、調査で得られたデータの整理・予備分析がまだおこなわれていないため、当初の予定より若干遅れていると言える。調査実施が遅れた理由は、本課題とも関連する全国調査実施(早稲田大学G-COE、2011年10月実施)に関する作業を平行して行っていたためである。しかし、この調査により得られたデータは本課題達成にも大きく貢献することが予想されるため、一概には遅れているとは言えないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、3月に実施したインターネット調査のデータの整理・分析を主に、既存のデータ分析も含めて成果物へと結実させていくことになる。現段階での問題点は、インターネット調査における自由回答のコーディングに多大な時間が予想されること、またそれに関連して、最終成果を作成するにあたり、各学会での報告が時間的に制約されてしまうことが挙げられる。対応策としては、学会に限らず有益なコメントが得られることが期待される研究会等に参加し、報告機会を得ることでその充当をすること、アルバイトを雇用することでコーディングの時間を節約することを模索している。
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Research Products
(1 results)