2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11J56632
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 新 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政治知識 / 政治意識 / 政治的洗練性 / 教育程度 / WEB調査 |
Research Abstract |
本課題での研究目的は、有権者の持つ政治知識を各有権者個体内での政治的選好形成、政治的意思決定メカニズム双方の一部として捉え、政治知識の質的側面(教科書的な知識といわゆる「政治的」な知識)によってそれらを峻別することで政治意識・行動に異なる影響を持つことを実証的に示すことにある(一部自分の研究成果からも裏付けられている:2009年日本選挙学会ポスター報告、2010年日本政治学会口頭報告)。上記目的を達成すべく、本年度はWEB調査(実施:2012年3月9日~15日、サンプル約1700、政治知識付与の実験要素、教育程度の新測定を含む)データ分析が主たる計画となった。 WEB調査実験の具体的内容は、政治知識を測定する質問項目の回答後に、政治知識の質的側面に分けた形式で無作為に正答を示し(この部分が刺激)、その後にたずねる政治的態度、行動(政治的有効性感覚、争点態度、イデオロギー自己定位、民主党・自民党に対する態度、投票意図政党)に対する影響を見るものである。当データを用い、2013年3月の政治経済学会にて口頭報告を行った。刺激の効果についての分析結果は、(1)全サンプルでの分析では一貫して「投票義務感」が薄れる(2)全サンプル対象の分析で、刺激を質的差異で分類すると、教科書的な知識を付与されたグループは自民党や民主党への立場を変化さ、せ、政治的な知識を付与されたグループでは政治的有効性感覚を減少させる、といった影響がある(3)知識の初期保有でサンプルを分けた場合、知識の付与により低知識層では民主党に、高知識層では自民党へポジティブな評価をする(4)分析全般において知識付与の刺激は態度を和らげる(中道寄りにする)、ことが明らかになった。しかし、知識の質的差異がもたらす影響は直観と逆の結果であり、今後理論的な検討が必要となる。また、教育程度についての分析はデータのコーディングが自由回答であるため非常に煩雑であり、引き続き作業の途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
WEB調査で収集したデータにおいて、本課題の目的の一つである教育程度の新しい測定方法の検討に関する質問項目を自由回答としたため、コーディング方法の取得やデータ整理に時間がかかっている。そのため、その部分に関する分析が遅れている。また、実験部分についても理論的検討や学会報告でのコメントを受けた再分析が進んでいない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
・自由回答のコーディングについては、専門としている研究者のアドバイスをもらい、データの整理、分析を迅速化する。 ・実験に関する理論的検討については、自分の博士論文における先行研究の概観と付随して、検討を行うことで作業を進める。
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Research Products
(6 results)