2012 Fiscal Year Annual Research Report
自殺の不処罰根拠および自殺関与・同意殺人罪の処罰根拠に関する歴史的・比較法的研究
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11J56643
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
福山 好典 早稲田大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2011 – 2013-03-31
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Keywords | 自殺ニ關スル罪 / 自殺関与罪・同意殺人罪 / 自殺関与の訴追指針(イギリス) / 自殺幇助処罰法案(ドイツ) |
Research Abstract |
平成24年度には、歴史的研究と比較法研究のいずれの点でも具体的な成果を得た。 まず、歴史的研究の面では、旧刑法の「自殺二關スル罪」の制定過程を素材とする歴史研究を踏まえて、同罪に関する学説の展開および現行の自殺関与・同意殺人罪(刑法202条)の立法過程を対象に研究を進め、その成果として論文「自殺関与罪・同意殺人罪の成立過程」を執筆・公表した。この研究成果では、従来の研究以降に入手可能になった歴史的資料をも駆使しつつ分析を進めた結果、従来の研究よりも正確な知見を獲得することができた。 つぎに、比較法研究の面では、イギリス刑事法を対象とする比較法研究を進め、その成果として論文「自殺関与と刑事規制に関する一考察(1)(2・完)」を執筆・公表した。この研究成果は、自殺教唆・幇助の訴追指針の公表というイギリス刑事法における近時の新展開を契機として、その指針の背景・内容・運用状況を含めて詳細に紹介・分析したうえで、その訴追指針による対応の意義と問題性を明らかにするものである。こうした最新動向について詳細に紹介するとともに、根本的な考察を加える研究は、わが国ではこれまで見られなかったことから、本研究は、自殺関与と刑事規制に関する重要な知見を新たにもたらしたといえる。 なお、上記論文の執筆と並行して、ドイツ刑法の研究も進め、平成25年度に論文を公表しうるだけの分析を重ねることができた。すなわち、自殺幇助の一部を犯罪化する近年の諸草案の比較分析を通じて、自殺関与と刑事規制をめぐる課題を明らかにする研究がそれである。
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Research Products
(6 results)