2001 Fiscal Year Annual Research Report
構造及び機能単位としてのモジュールを組み合わせた新規蛋白質の分子設計と創製
Project/Area Number |
12002008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森島 績 京都大学, 工学研究科, 教授 (50026093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若杉 桂輔 京都大学, 工学研究科, 助手 (20322167)
高橋 聡 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283641)
石森 浩一郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20192487)
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Keywords | 蛋白質工学 / 生物物理学 / 生体分子 / 酵素 / 生物物理化学 / 分子設計 |
Research Abstract |
1.金属イオンによって応答可能な金属蛋白質の設計 蛋白質をベースとした金属センサーの開発を目指して、金属イオンを結合することによって酸素結合能が変化する蛋白質の作製を行った。ミオグロビン(Mb)の酸素結合部位付近に、カルモジュリンのCa^<2+>結合モジュールを挿入したところ、Ca^<2+>を特異的に結合し酸素親和性が約2倍に増大する新規蛋白質を創製できた。この増加は、配位子周辺部位の構造的揺らぎが抑制されることで、酸素分子のヘム鉄からの解離速度が選択的に低下することに起因することが明らかになった。さらに、この構造予測に基づき置換を施したところ、Ca^<2+>結合能が300倍も向上したCa^<2+>結合Mbを創製できた。 2.シグナルカスケードを制御可能な人工グロビン蛋白質の設計 生体内に多くのシグナル伝達系が存在する。本研究では、これらを人工的に改変する蛋白質を創製する手始めとして、MbにtRNA合成酵素(TrpRS)と結合できるデヒドロゲナーゼ(GAPDH)のモジュールを融合することにより、ヘムの有無、ヘム鉄への配位子の有無により、TrpRSとの結合を制御する新規蛋白質の創製を目指した。融合蛋白質は、天然Mb同様、酸素が可逆的に配位できる安定なヘム近傍構造を持つ一方、天然のGAPDH同様、TrpRSと特異的に結合できることが明らかになった。今後、ヘムあるいは配位子によるTrpRSの制御について検討する。 3.モジュール間相互作用の再生を目指した方法論の開発 モジュール置換後、ランダム変異を施すことにより、安定な異種蛋白質間モジュール置換蛋白質を創製することも試みた。ヘモグロビンα鎖のヘム結合モジュールを、シトクロムb_5のヘム結合モジュール部分に導入したb_5αb_5を作製し、ランダム変異導入後、ヘム親和性を指標に構造が安定化している蛋白質のスクリーニングを行った。その結果、ヘム会合速度が6.6倍増加したクローンを得た。このクローンには、ヘム結合モジュールに近接する特定の部位に変異が導入されていたことから、蛋白質を安定化するモジュール間相互作用が創出され、その結果ヘム結合能が回復したと思われる。
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