2000 Fiscal Year Annual Research Report
食品産業におけるゼロエミッション化のための新しい排水処理システム
Project/Area Number |
12015244
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
常田 聡 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (30281645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 彰 早稲田大学, 理工学部, 教授 (00063610)
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Keywords | 食品産業 / 排水処理 / バイオサイクル / ワイン醸造 / コンポスト化 / 物質フロー / エネルギー評価 / ゼロエミッション |
Research Abstract |
食品産業から排出される排水や廃棄物は生物由来の易分解性有機物中心である.そのため,有機物の循環,すなわちバイオサイクルという点から見て,これらの排出物は原料生産へフィードバックすることが可能である.廃棄物の処理および再生に関しては,現在さまざまな方法が開発・使用されているが,食品産業におけるバイオサイクルという流れから見た時に,どの方法がエミッション低減に有効であるかは,はっきりとしていない.本研究では原料生産と製品製造を一連のプロセスと考え,このバイオサイクルに出入りする物質およびエネルギーを定量的に把握し,その中でのゼロエミッション化をめざすことを目的とした.本研究では具体的な対象産業としてワイン醸造産業を選んだ.まずブドウ(生果)から作るワインの製造プロセスにターゲットを絞り,アンケート調査を行うことによって物質収支のフロー解析を行った.20,000kgのブドウから17,280Lのワインが生産される過程で,梗,果実・種,澱等約3,900kgの固形廃棄物,100tの排水が出ることがわかった。また,排水の処理工程(活性汚泥法)において発生する余剰汚泥量は,乾燥重量として68.6kgであることがわかった.次に原料および各廃棄物・排水について重量および元素分析(C,N,P)を行い,製造プロセス内における元素ごとのフロー解析を行った.元素によって動きが異なるものの,固形廃棄物(ブドウ梗・ブドウ粕)としての排出が大きな割合を占めることがわかった.特に窒素とリンに関しては,バイオサイクルへのインプットが主に肥料からであることを踏まえればこれらを有効的に農地還元させることがバイオサイクルを機能させる上で重要であるといえる.これらは含水率が低く,C/N比が高いので,先に述べた余剰汚泥のコンポスト化を行う際の調整剤となりうることが示唆された.
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