2000 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン酸化物における電荷および軌道の相関と局所構造
Project/Area Number |
12046254
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00260216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 信義 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20146575)
田島 圭介 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70004439)
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Keywords | 散漫散乱 / ペロフスカイト型マンガン酸化物 / 金属-絶縁体転移 / 巨大磁気抵抗効果 / 電荷整列 / ポーラロン / 圧力誘起相転移 / 磁場中X線回折 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型マンガン酸化物では、金属-絶縁体転移・磁気転移・構造転移が互いに関連しておこり、さらに巨大磁気抵抗効果や電荷整列現象を示すことから活発な研究が行われている。我々は、これらの現象の機構を明らかにする事を目的に、X線散乱実験をおこなった。主な結果は以下のとおりである。 1.強磁性金属転移を示す物質についてX線散漫散乱の測定により、格子の局所歪みが常磁性絶縁体状態における電気抵抗率の増大に寄与していることを明らかにした。また、その局所歪みがJahn-Tellerポーラロンとして理解できることを示した。 2.電荷整列現象を示す物質について同様の測定を行った。電荷整列転移温度以上で、Jahn-Teller効果に起因する歪み場間の相関が不整合波数で特徴づけられることが分かった。 3.上記2の物質について磁場効果を調べた。電荷の局在化による歪み場間の相関が磁場の増加に伴い減少する事が分かった。さらに、低温で磁場により電荷整列絶縁体相から強磁性金属相へと転移させた場合、特異な相共存状態が現れることを明らかにした。 4.原子散乱因子の異常分散効果により電荷整列状態を調べた結果、電荷配列と格子歪みを説明することができた。しかし、散漫散乱については十分な強度が得られなかった。 5.電荷整列を示す物質の静水圧効果を調べた結果、新たな圧力誘起相を見いだした。この相は、電荷および軌道の再配列によると考えられる
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[Publications] S.Shimomura,T.Tonegawa,K.Tajima,N.Wakabayashi, (他): "X-ray Diffuse Scattering Study on Charge-Localized States of Pr_<1-x>Ca_xO_3 (x=0.35, 0.4, 0.5)"Physical Review B. 62. 3675-3678 (2000)
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[Publications] Pengcheng Dai,J.A.Fernandez-Baca,N.Wakabayashi, (他): "Short-Range Polaron Correlations in the Ferromagnetic La_<1-x>Ca_xMnO_3"Physical Review Letters. 85. 2553-2556 (2000)