2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12123201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北岡 伸一 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (80120880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田辺 國昭 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40171813)
飯尾 潤 政策研究大学院大学, 教授 (90241926)
田中 愛治 早稲田大学, 政治経済学部, 教授 (40188280)
加藤 淳子 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00251314)
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Keywords | 年金制度改革 / 逆進課税制度 / 財政投融資 / 全国世論調査 / 国民意識 / エリート層の意識 / 衆議院議員意識調査 / 衆議院議員総選挙 |
Research Abstract |
本研究は、日本及び国際比較において、世代間の利害対立をいかに調整できるかという問題を政治学的にアプローチしてきた研究であり、平成12年度から研究を継続してきたが、平成16年まで研究期間を延長していただいたことを受けて、本年度(平成15年度)は更に調査研究を深める努力をした。本研究班全体としては、2つの大きな実証的な研究を行った。 第1に、年金改革問題が平成15年11月の衆議院総選挙の争点になっていたため、総選挙の前後にパネル調査として全国世論調査を実施した(選挙前の調査費用は早稲田大学21世紀COE「開かれた政治経済制度の構築」が負担し、選挙後は本研究班が負担し、調査の協力をした)。第2に、エリート層の年金問題に対する意識を実証的に探るために、新たに選ばれた衆議院議員全員にアンケート調査を実施した。 それらの実証研究と同時に、研究成果の発表も行ってきている。加藤淳子は本研究の研究期間中に、逆進的課税(消費税等)制度の国際比較研究をまとめ、単著(英書)としてCambridge大学出版会から刊行した(Kato,2003)。加藤はOECD18カ国の比較を通して、累進的所得課税から逆進消費課税への税収依存を移す制度改革が1960年代までに終了していたことを指摘し、福祉国家の発展に経路依存性があることを示した。この福祉国家における税制のあり方の検討は、年金制度改革問題を見直す上で重要な研究ステップを示している。また、田辺は本年度までに、世代間の調整を内包する問題である年金制度と財政投融資の関係を分析をしており、加藤とともに、わが国における年金制度問題を見渡すために、貴重な基礎となる学術的研究を示してきた。田中も、日本の年金問題に関する国民意識における世代間格差についての実証分析を示した。飯尾は経済政策の提言を行ってきており、北岡は政治的ダイナミズムのマクロな視点から、提言をしてきた。更に飯尾は、衆議院議員の年金問題などに対する意識調査データをまとめて、新聞紙上でその分析を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanaka, Aiji, Sherry Martin: "The New Independent Voter and the Evolving Japanese Party System"Asian Perspective. Vol.27-No.3. 21-51 (2003)
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[Publications] 田中 愛治: "経済教室"日本経済新聞. 7月16日付. (2003)
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[Publications] 北岡 伸一: "「不安な勝利」と「価値ある敗北」--二大政党制への歩みを歓迎する--"中央公論1月号. 2003年12月15日. (2004)
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[Publications] 飯尾 潤: "「回復基調」の経済のもとで、さらなる構造改革を促せ"中央公論4月号. 3月15日発売. 48-51 (2004)
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[Publications] 飯尾 潤: "衆議院議員意識の分析"読売新聞. 3月17日付. 11 (2004)
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[Publications] Kato, Junko: "Regressive Taxation and the Welfare State : Path Dependence and Policy Diffusion"Cambridge University Press. 260 (2003)