2002 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較可能な国際金融理論の構築とデータの基盤整備
Project/Area Number |
12124203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 慎一 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00221531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 英治 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (80185503)
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Keywords | 通貨制度 / 資本移動規制 / 通貨危機 / 国際金融システム / 流動性危機 / 長期資金 |
Research Abstract |
本研究では、大きく分けて(A)望ましい為替相場制度と(B)国際間の資本移動規制のあり方、の2つのテーマを取り上げ、とりわけ日本を含む東アジア諸国においてどのような国際金融システムの制度設計が望ましいかを考察してきた。まず、(A)の研究では、通貨危機後、東アジア地域における通貨制度がどのように変遷したかを実証的に分析するところから分析を行っている。通貨危機以前は、日本を除くほぼすべての東アジア諸国は、事実上の米ドルペッグを行っていた。しかし、通貨危機後は、タイ、インドネシア、韓国が、管理フロート制へと移行し、それまでとは異なった通貨制度を採用するようになった。研究では通貨制度の決定メカニズムを為替ヘッジの役割に注目することによって理論的に考察すると同時に、intra-daily dataのようなきわめて頻度の高いデータを利用することにより、それらの国々における為替レートがどのように決定されてきたかを実証的に考察している。一方、(B)の研究では、資本を短期性資金と長期性資金に分類することによって、通貨危機前後における東アジア地域における資本移動のあり方に関して考察を開始している。1997年に起こった東アジアの通貨危機では、短期資金の引き上げによる流動性危機が深刻な問題となった。しかし、そのようなパニック下でも、各国に投資された長期性の資金はほとんど減少しなかった。本研究では、そのメカニズムを説明する理論モデルを金融契約の観点から構築すると同時に、BISの国別融資データや東アジア各国の企業別データなどを利用することによって、発展途上国が安定した経済成長を遂げるために長期性の資金によって資金を調達することの有用性を実証的に検討している。
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[Publications] 福田慎一, 鯉渕賢: "ソルベンシー・マージン比率と生保貸出:生命保険業界におけるキャピタル・クランチ"経済学論集. 68巻2号. 48-69 (2002)
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[Publications] 福田慎一: "なぜ日本の財政赤字は拡大したか?"フィナンシャル・レビュー. 63. 83-106 (2002)
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[Publications] 福田慎一, 計聡: "日本における財政政策のインパクト"金融研究. 21巻3号. 55-100 (2002)
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[Publications] Shin-ichi Fukuda: "Extraneous Shocks and International Linkage of Business Cycles in a Two-country Monetary Model"Journal of Economic Behavior and Organization. (近刊).
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[Publications] 小川英治: "国際金融アーキテクチャー:国際通貨の観点から"国際経済. 53. 72-91 (2002)
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[Publications] Eiji Ogawa, Takatoshi Ito: "On the Desirability of a Regional Basket Currency Arrangement"Journal of the Japanese and International Economies. 16. 317-334 (2002)
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[Publications] 福田慎一: "日本の長期金融"有斐閣. 264 (2003)