2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12132206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
柳田 益造 同志社大学, 工学部, 教授 (00116120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 昌一 帝京平成大学, 情報学部, 助教授 (10245293)
郡 史郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (40144539)
桑原 尚夫 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (70225324)
吉田 優子 言語文化教育研究センター, 助教授 (70288603)
力丸 裕 同志社大学, 工学部, 教授 (90260207)
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Keywords | 韻律 / 基本周波数 / ピッチ知覚 / 発話速度 / 音声コーパス / 感情音声 / 方言 / 個人性 |
Research Abstract |
1.韻律の定量的記述 a.ほぼ同時に立ち上がる2つの純音のピッチ知覚が時間差の影響を受けることを示した. b.皮肉発話と賞賛発話が,文末の終助詞の韻律によってある程度判別可能であることを示した. c.中国語と日本語から,言語に依存した韻律則と言語に依存しない韻律則があることを示した. 2.韻律的・音韻的特徴における個人性の研究 f_0の平均値だけを操作した合成音によって,f_0の個人性への貢献度を検討した結果,40%下げても個人性は70%保存されているが,40%上げると個人性は30%に下がることが明らかになった. 3.韻律における場面差と地域的多様性の研究 a.放送音声の発話スタイルは(1)ハイテンション・はしゃいで・楽しげ,(2)静粛・悲痛,(3)普通・丁寧・落ち着いて・ぞんざいの大きく3つにグループ分けされることを示した. b.イタリア語の韻律的特徴,特に発話速度とリズムについて,これまでの研究をまとめた. 4.感情・感性的表現における韻律的特徴の解析 a.韻律的特徴のうち,パワーに着目して,10人の話者の「怒り」音声について,音声パワー(最高音圧)を測定した結果,「平常」,「怒り」,「激怒」の順に増大していることがわかった. b.「ホーミー」の音響的特徴,ならびに咳の検出に関する基礎的な検討をまとめた. 5.韻律知覚に関する神経科学的検討 a.音声の帯域信号を対応する帯域雑音で置換した再合成音の了解度を日本語について調べた.母音の多い日本語では英語より了解度が落ちると予想されたが,そうはならないことがわかった. b.ピッチ知覚の訓練効果,およびピッチの継時的変化の知覚を,日本ザルを使って検討した. 6.韻律に関する言語学からの検討 京都方言と日本語共通語の語彙アクセントと句アクセントについて,特に属格・同格の「の」が関わる韻律,和語に助詞がつく場合の韻律,複合語の韻律などについて,言語学的観点から検討した.
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Research Products
(20 results)
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[Publications] T.Shirado and M.Yanagida: "Frequency discrimination of a pure tone presented with a quasi-simultaneous tone"J.of Acoust,.Soc.of Japan (E). 22.3(5月号掲載予定). (2001)
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[Publications] 光本浩士,濱崎敏幸,大多和寛,田村進一,柳田益造: "終助詞「ね」の韻律による皮肉の識別"電子情報通信学会 論文誌D-II. J84-DII,6(6月号掲載予定). (2001)
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[Publications] 柳田益造: "現象面から見た吃音とその認識"人工知能学会 ことば工学研究会. SIG-LSE-A001. 1-8 (2000)
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[Publications] 柳田益造: "音声言語発達の観点から見た吃音 -その原因と治療-"パネルディスカッション「幼児の音声言語発達研究における方法論について」(電子情報通信学会 音声研究会). 100,240.SP2000-41. 74-75 (2000)
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[Publications] 張燕,柳田益造: "中国語連続音声における声調パターンの変形現象とその規則性"電子情報通信学会 音声研究会. SP2000-117. 1-8 (2001)
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[Publications] H.Kuwabara,M.Nakamura: "Acoustic and Perceptual Properties of Syllables in Continuous Speech as a Function of speaking rate"Text, Speech and Dialogue (Lecture Notes in Artificial Intelligence), Bruno (Czech).. 1902. 229-236 (2000)
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[Publications] S.Itahashi,H.Kuwabara: "Overview of Recent Activities in East Asia : Speech Corpora and Assessment"Preprints of the COCOSDA Workshop, Beijin (China). 15 (2000)
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[Publications] 中村通憲,桑原尚夫: "波形処理による鼻濁音の分析"日本音響学会講演論文集. 2001.春-I. 363-364 (2001)
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[Publications] 郡史郎: "イタリア語の韻律的特徴:話速度とリズム"Aula Nuova(大阪外国語大学イタリア語研究室). 3(印刷中). (2001)
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[Publications] 村岡輝雄,武田昌一,糸賀昌士: "モンゴル歌唱法「ホーミー」の音響的特徴の解析"日本音響学会誌. 56,5. 308-317 (2000)
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[Publications] S.Takeda,S.Kato and K.Toriumi: "A Basic Study of Cough Signal Detection for a Life-Support System"IEICE Trans.Fundamentals. E83-A,12. 2640-2648 (2000)
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[Publications] 武田昌一,石塚太,平松幹常: "パワーで見た擬似会話音声における「怒り」表現の特徴"日本音響学会2000年秋季研究発表会講演論文集. 2000-秋-1. 191-192 (2000)
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[Publications] 武田昌一,西澤良博,大山玄: "「怒り」の音声の特徴分析に関する一考察"電子情報通信学会技術研究報告. SP2000(3月発表予定). (2001)
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[Publications] Riquimaroux,H.and Kitagawa,N.: "Pitch perception may be created depending upon the auditory training process : A study on Japanese monkey"Neuroscience Research(第23回日本神経科学・第10回日本神経回路学会合同大会,横浜市). 24:. S157 (2000)
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[Publications] Takahashi,T.,Sumida,K.,Yanase Y.and Riquimaroux,H.: "Sequential pitch discrimination by Japanese monkey"Proceedings of Auditory Research Forum, Japan.. 5:. 18 (2000)
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[Publications] 高橋十九朗,住田勝章,簗瀬泰之,力丸裕: "ピッチの継時的変化の知覚:基本周波数の役割"日本音響学会研究発表会. 2001-春-I. 465-466 (2001)
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[Publications] Yuko Yoshida: "Nature of Phonological Representation (Review Article of J.Coleman, Phonological Representations : Their Names, Forms and Powers)"English Linguistics. 17.1. 220-242 (2000)
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[Publications] 郡史郎,池田廉 編: "ポケットプログレッシブ伊和・和伊辞典"小学館(4月発売予定). (2001)
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[Publications] 武田昌一: "音声情報処理特論"帝京印刷. 217 (2000)
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[Publications] Y.Yoshida and H.Zamma: ""The accent system of the Kyoto dialect of Japanese-A study on phrasal patterns and paradigms" in J.van de Weijer & T.Nishihara (eds.) Issues in Japanese phonology and morphology"Mouton de Gruyter (予定). 223-249 (2001)