2004 Fiscal Year Annual Research Report
心不全の戦略的研究-発生工学を用いた心不全の病態解明と遺伝子・細胞治療
Project/Area Number |
12136101
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小室 一成 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30260483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧原 圭子 大阪大学, 保健センター, 助教授 (70252640)
松原 弘明 京都府立医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10239072)
斉藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
室原 豊明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90299503)
福田 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20199227)
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Keywords | 血管新生 / 心不全 / ANP / BNP / angiopoietin-1 / ErbB / gp130 / STAT3 |
Research Abstract |
急性心筋梗塞ではANP、BNPの血中濃度が発症後顕著に上昇することが知られている。この意義を解明するために、受容体であるGC-A遺伝子やBNP遺伝子の改変マウスを用いて急性心筋梗塞モデルを作製し検討した。その結果、ANP系には心保護作用があるが、心筋梗塞の急性期では白血球の浸潤やMMP-9の発現などの創傷治癒過程に関与していることが示唆された。 心臓におけるErbB受容体シグナルの役割を調べるために、EGF受容体のdominant negative formを心筋特異的に発現する遺伝子改変マウスを作製し検討した。このマウスでは心内腔の拡大、心室壁の菲薄化や心機能の低下が認められた。しかし単離心筋細胞では肥大が認められ、電子密度の減少した特徴的なミトコンドリア像が見られた。これらの結果から、ErbBシグナルは心筋細胞においてミトコンドリアの構造と機能の恒常性維持を介して心保護的に作用している可能性が示唆された。また、constitutively activated STAT3遺伝子を過剰発現するマウスの解析により心不全時のgp130の役割を、Chm-1遺伝子のノックアウトマウスの解析により心臓弁膜症の成因を解明した。 ウサギの下肢虚血モデルを用いて骨髄単核球細胞とAngiopoietin-1プラスミドによる遺伝子治療の効果を検討した。Angiopoietin-1の単独治療では血管の増生を認めるものの下肢の潰瘍所見は改善しなかった。単核球細胞の併用により著明な治療効果を示し、その効果は単核球細胞単独群より増強されていた。これらの結果より、Angiopoietin-1遺伝子と骨髄単核球細胞の併用療法は、効果的な血管新生を促す治療法として期待される。また骨髄由来のCD14陽性単核球は内皮分化能をもち、内皮前駆細胞として機能することが明らかにされた。
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Research Products
(7 results)