2001 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1-リン酸とその受容体の情報伝達機構と生理機能の解析
Project/Area Number |
12140201
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
五十嵐 靖之 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (70091965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 淳 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00301953)
木原 章雄 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50333620)
井ノ口 仁一 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (70131810)
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
矢冨 裕 山梨医科大学, 助教授 (60200523)
|
Keywords | スフィンゴ脂質 / 糖脂質 / スフィンゴシン1-リン酸 / Edg受容体 / スフィンゴシンキナーゼ / 細胞膜ミクロドメイン / シグナル伝達 / G蛋白質 |
Research Abstract |
血中に高濃度で存在する生理活性脂質であるスフィンゴシン1-リン酸(S1P)は最近、Edgファミリーという7回膜貫通型GPCRに属するそれぞれの受容体が同定され、生体内での役割や各種疾患との関わりが注目を集めている。本研究では以下の点を明らかにした。1)アゴニスト刺激の血小板からS1Pとともにリゾホスファチジン産(LPA)が放出されることを、S1P、LPA相互分離の可能な2次元TLCシステムを新たに開発して初めて明らかにした。2)しかし血中LPAの95%は血小板から放出されるのではなく、放出されたPLA1、PLA2および血漿中のリゾホスホリパーゼDの作用で血管内でPC、PE、PSなどのリン脂質から生成される機構を明らかにした。3)血小板からのS1P放出は、スタウロスポリン感受性をもつとともにATP依存性があり、その放出にはABCトランスポーターの関与が示唆された。血小板に多く存在するMRP3および血小板特異的なABCAPの安定発現株を作成し、現在それらの可能性を追求している。4)ヒト血小板から、S1P合成酵素である新規スフィンゴシンキナーゼ(SK4)の精製、クローニングに成功した。この酵素にはヘパリン結合モチーフが含まれ、細胞膜外への酵素の放出が観察され、血管外でのS1P生成に関わっている可能性が示唆された。このほか、もう一つの新規スフィンゴシンキナーゼとして、細胞のペロキシゾームに局在するSK3をホモログ解析から同定した。5)S1P受容体のN末端に糖鎖が付加されているが、この糖鎖は受容体のマイクロドメインへの集積と細胞へのインターナリゼイションに重要な役割を果たしていることを初めて明らかにした。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Yutaka Yatomi: "Sphingosine 1-phosphate : synthesis and release"Prostaglandins & other Lipid Mediators. 64. 107-122 (2001)
-
[Publications] Takashi Murate: "Cell Type-specific Localization of Sphingosine Kinase la in Human Tissues"The Journal of Histochemistry & Cytochemistry. 49(7). 845-855 (2001)
-
[Publications] Kazuya Kabayama: "Suppression of Integrin Expression and Tumorigenicity by Sulfation of Lactosylceramide in 3LL Lewis Lung Carcinoma Cells"The Journal of Biological Chemistry. 276(29). 26777-26783 (2001)
-
[Publications] Seiichi Tagami: "Ganglioside GM3 Participates in the Pathological Conditions of Insurin Resistance"The Journal of Biological Chemistry. 277(5). 3085-3092 (2002)
-
[Publications] Takayuki Kohno: "N-glycans of Sphingosine 1-phosphate Receptor, Edg-1, Regulate Ligand Induced Receptor Internalization"FASEB Journal. (in press). (2002)
-
[Publications] Takamitsu Sano: "Multiple Mechanisms Linked to Platelet Activation Result in Lysophosphatidic Acid and Sphingosine-1-Phosphate Generation in Blood"The Journal of Biological Chemistry. (in press). (2002)
-
[Publications] Yutaka Yatomi: "Sphingosine 1-Phosphate Breakdown in Platelets : A Novel Pathway for Formation of Sphingolipid Mediators"The Journal of Biological Chemistry. (in press). (2002)
-
[Publications] 五十嵐靖之 他編: "マイクロドメイン形成と細胞のシグナリング:スフィンゴ脂質の新しい生物機能"共立出版株式会社. 258 (2002)