2000 Fiscal Year Annual Research Report
分節パターンを決定する反応拡散波-数理モデルを用いたアプローチ-
Project/Area Number |
12145202
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 滋 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10252503)
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Keywords | 縞模様 / ゼブラフィッシュ / 反応拡散系 / チューリング / 体節 / 周期構造 |
Research Abstract |
1 ゼブラフィッシュの模様形成遺伝子の同定 皮膚の模様に関与する突然変異が幾つか知られている。それらの幾つかはc-kit familyに属しており、このタイプのシグナル伝達系が模様形成に働いている可能性がある。そこでfamilyのうち、まだ変異体や遺伝子が取られていないVEGF,PDGFの遺伝子をクローニングし、それを卵に導入、発現させる実験を行っている。現在まで、クローニングと鰭部分への遺伝子導入発現を行った結果、VEGFに関してはメラノサイトのアポトーシスを誘導し模様が消えることが観察されたが、パターン自体の変化は観察されていない。 2 ゼブラフィッシュの皮膚構造・構成細胞の同定 皮膚パターンを生じさせる「場」としての皮膚の微細構造について詳しく把握するため、皮膚切片の電子顕微鏡による解析を行い、皮膚の層状の構造、各層に存在する細胞の種類が同定された。また多層からなる皮膚のどこに位置情報場の存在する色素細胞が存在するのかを知るためメラノサイト移植を行い、位置情報場が皮膚の非常に限られた部分にのみ存在することを発見した。 3 ニワトリ体節形成に反応拡散系が働いていることの証明 ニワトリの体節形成時にhairyなどの遺伝子の発現パターンが波状に移動するが、このダイナミクスはチューリングモデルで良く説明できる。今回、体節形成直前の中胚葉細胞に対して外科的な処置を行い、パターンの再性現象を観察した結果、計算機シミュレーションとの比較よりチューリングモデルが良く成り立っていることがわかった。
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