2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12210001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宏 京都産業大学, 工学部, 教授 (90065839)
行木 孝夫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40271712)
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Keywords | 思考推論過程 / カテゴリー形成 / 不動点型ニューラルヒット / カオス力学系 / 思考推論の神経相関 / 複雑系科学 |
Research Abstract |
脳の高次機能、特に思考推論の過程をニューロン及びニューロンアセンブリーのレベルで解明することを目的に思考推論に関する理論モデルの提唱と推論実験タスクの提案を行うという方向で研究を行った。思考推論過程を記憶特に連想記憶から分離できるかどうかは、思考推論の実験が成功するかどうかの鍵を握っている。そこで、連想記憶から切り離された純粋な思考が存在するか、思考から切り離された純粋な記憶が存在するか、に関していくつかの考察を加えた。コンピュータにおいては、思考推論に相当する部分が演算装置すなわちCPUであり、それとメモリーは完全に独立である。 人の場合には通常はこれらが密接に相互作用して機能しているため、切り離す事が困難である。しかし一方、これらを切り離さなければ純粋に思考を取り出したとは言えず、思考の脳内過程のメカニズムは、曖昧なまま残る。さまざまな考察によって、連想記憶が文脈依存であるのに対し思考は文脈自由であり、思考とは関係の発見、計算、矛盾した状況からの飛躍、すなわちアブダクションに近いものと考えられる。純粋思考と純粋記憶が干渉する部分がカテゴリー形成であり、そこには扁桃体が関与していると考えられる。従って、純粋思考を取り出すためには辺縁系からの入力を遮断した形での推論実験を行う必要があると考えている。 そして、推論過程の力学系による表現のモデルを構成した。そのモデルのニューラルネットワーク表現は、不動点型になる。得られた不動点型ニューラルネットのシミュレーションの結果は、さまざまな部分同期間のカオス的遍歴になることがわかった。このカオス的遍歴的な挙動は推論の推移を表現していると考えられる。 次に種々の推論の分類を行った。三段論法的な推論実験を猿に行わせる為に、第一段階としてカテゴリー形成の実験を行う事にし、今年度は実験が少なくとも人では可能である事を確認した。
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[Publications] I.Tsuda: "Making sense of internal logic"The Sciences of Interface(eds.H.H.Diebner, T.Druckrey and P.Weibel, Genista Verlag, Tubingen). 131-135 (2001)
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[Publications] I.Tsuda: "Cantor coding in the hippocampus"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 18(2). 249-258 (2001)
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[Publications] I.Tsuda: "Toward an interpretation of dynamic neural activity in terms of chaotic dynamical systems"Behavioral and Brain Sciences. 24(5). 575-628 (2001)
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[Publications] I.Tsuda: "Fractal encoding in a chaotic neural network"Physical Review E. 64. 1-6 (2001)
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[Publications] T.Namiki: "Function Dynamics"Japan J.Indust.Appl.Math.. 18. 405-423 (2001)
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[Publications] T.Namiki: "Asymptotic behavior of one-dimensional cellular automata traffic models"Proceedings of Cellular Automata (Yokohama National Univ.). Nov.15-16. 130-134 (2001)
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[Publications] 津田一郎: "複雑系脳理論"サイエンス社. 111 (2002)
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[Publications] I.Tsuda: "Complex Systems : Chaos and Beyond-A Constructive Approach with Applications in Life Sciences"Springer-Verlag. 273 (2001)