2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌原遺伝子産物c-Mycを分子標的としたアポトーシス誘導型がん治療法の開発
Project/Area Number |
12217167
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
野口 耕司 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 研究員 (80291136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北中 千史 国立がんセンター研究所, 生物物理部, 室長 (70260320)
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Keywords | c-Myc / JNK / ASK1 / プロテアソーム / リン酸化 |
Research Abstract |
癌関連遺伝子産物による癌細胞の特異的なアポトーシスの分子機構は、難治疾患としての癌にも有効な新しい分子標的治療法開発に於いて重要な研究課題である。我々は、癌原遺伝子産物c-Mycによる癌細胞のアポトーシス誘導機構の解明を遂行してきた中で、抗癌剤からc-Jun N-terminal kinase(JNK)、c-Mycへとつながる新たなシグナル伝達系の存在を初めて証明し、癌原遺伝子産物であるc-Mycが、抗癌剤感受性の細胞内規定因子として機能し、アポトーシス誘導を利用した抗癌剤治療の有望な標的分子となりうることを示してきた。本研究では、癌原遺伝子産物c-Mycによるアポトーシス誘導の機能制御機構を解析し、紫外線照射などで引き起こされるc-Mycによるアポトーシスの際、Apoptosis signal regulating kinase1(ASK1)-JNKシグナルの活性化を介したc-Myc蛋白質のリン酸化が、c-Myc蛋白質の分解を抑制していることを見出した。c-Myc蛋白質はプロテアソーム蛋白質分解系により分解されるが、この時、ユビキチン化されたc-Mycの分解がASK1のシグナルで抑制されることが判明した。また、JNKによるリン酸化部位を改変した変異体を用いた解析から、このc-Myc蛋白質分解抑制に、ASK1からのシグナルで誘導されるc-Myc蛋白質の62番目と71番目のセリンのリン酸化が関わっていることが明らかになった。c-Myc蛋白質の62番目と71番目のセリンのリン酸化は、抗癌剤や紫外線照射ストレスによるアポトーシス誘導に重要な役割をすることが明らかにされているので、プロテアソーム系による蛋白質分解制御機構も、抗癌剤等によるストレスシグナルを介したc-Myc特異的細胞死誘導機構の制御に関わっていると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Noguchi et al.,: "Differential role of the JNK and p38 MAPK pathway in c-Myc-and s-Myc-mediated apoptosls"Biochem Biophys Res Commun.. 267. 221-227 (2000)
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[Publications] K.Noguchi et al.,: "ASK1-signaling promotes c-Myc protein stability during apoptosis"Biochem Biophys Res Commun.. (印刷中).