2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12219206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 茂明 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (60204468)
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Keywords | ステロイドホルモン / 核内ステロイドレセプター / 転写共役因子群 / AF-1 / AF-2 / HAT複合体 / 第3の転写共役因子複合体 |
Research Abstract |
性ステロイドホルモン依存性生殖癌は、本邦において増加の一途をたどっているが、中でも乳、子宮、卵巣癌や前立腺癌による死因の割合が増え、社会的に見逃しがたい状況になりつつある。このようなステロイドホルモンをリガンドとする核内レセプター群は、1つの遺伝子スーパーファミリーを形成し、リガンド誘導性転写制御因子である。本研究では、性ステロイドホルモン作用発現における鍵分子である核内ステロイドレセプター及びその転写共役因子群に絞り、その基本的な性質を明らかにするとともに、発癌の過程で生じる異常について考察することを目的とした。 1.核内レセプターのAF-1機能領域の解析 転写制御因子である核内レセプターは、2つの転写促進領域をレセプタータンパクN末端(AF-1)とC末端(AF-2)に有すると言われている。しかしながら、ホルモン結合によるレセプターの構造変化とそれに関わるこれら2つの領域の機能的な相互作用や、これに関与する共役因子との相互作用は全く不明である。またこれらの転写促進領域は各種キナーゼによりリン酸化されることで、転写促進活性が変わることがわかっている。我々は、昨年度の結果を踏まえ、更に男性ホルモンレセプター(AR)AF-1の性状について同様な解析を行ない、その性状を調べた。その結果、ERαAF-1と異なり、MRAF-1、ARAF-1には2つの転写活性化促進領域が存在することがわかりつつある。 2.ホルモン活性を規定する新たなレセプター共役因子HAT複合体の同定 我々は、ERのN末端側の転写促進領域(AF-1)に結合するp68を細胞核抽出液より精製・クローニングした。p68はcDNAクローニングの結果、RNAヘリケースの1種であることが判明し、更にAR、MR、VDRへの効果についても調べたところ全く効果がなく、ERα特異的であることが判明した。 一方、160KDaの核内レセプター転写共役因子(SRC-1/TIF2/AIB1)群のC末端に位置する転写促進活性化領域(AD2)に相互作用する因子をMCF7細胞cDNAライブラリーから検索し、p72を単離した。p72は、p68と極めて相同性の高いRNAヘリケースで、p68同様ERαAF4に結合し、かつp68は、SRC-1/TIF-2のAD2に結合した。p68はCBP/p300と相互作用することから、p68/p72は、CBP/p300、SRC-1/TIF2/AIB1、SRAを含む転写共役因子複合体必須構成因子と考えている。ヒトERαのリガンド結合領域(AF-2)をエストロゲン存在で下で、プローブタンパク、として、いくつかの吸着カラムを用いて巨大複合体の単離を行なった結果、既知の2つの転写共役因子複合体に加え、第3の転写共役因子複合体が存在することを見出した。この複合体の構成成分を同定したところ、ヒストンアセチルトランスフェラーセ(HAT)GCN5、TRMPを含んだTFTC、STAGA、PAF複合体と同じクラスの転写共役因子複合体であることが判明した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yanagisawa J., Kitagawa, Kato, S., et al.: "Nuclear receptor function requires a TFTC-type histone acetyl transferase comples"Moll. Cell. (in press). (2002)
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[Publications] Kitagawa, H., Yanagisawa, Kato, S., et al.: "Ligand selective potentiation of rat mineralocorticoid receptor activation function-1 (AF-1 ) by a CBP-containing HAT complex"Mol. Cell. Biol.. (in press). (2002)
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[Publications] Matsui, D., Takeyama, K., Kato, S., et al.: "Transcriptional regulatin of the mouse steroid 5alpha-reductase type II gene by progesterone in brain"Nucleic Acids Research. (in press). (2002)
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[Publications] Van Cromphaut, S.J., Van Herck, E., Kato, S., et al.: "Doudenal calcium absorption in vitmin D receptor-knockout mice : functional and melecular aspects"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98. 13324-13329 (2001)
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[Publications] Yamamoto, Y., Kato, S., Yanagisawa, J., et al.: "A tamoxifen responsive estrogen receptor alpha mutant D351Y shows reduced tamoxifen-dependent interaction with corepressor complexes"J. Biol. Chem.. 276. 42684-42691 (2001)
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[Publications] Watanabe, M., Yanagisawa, J., Kato, S., et al.: "A subfamily of RNA binding DEAD-box proteins acts as an estrogen receptor α coactivator through the N-terminal activation domain (AF-1) with an RNA coactivator, SRA"EMBO J.. 20. 1341-1352 (2001)