2002 Fiscal Year Annual Research Report
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12301001
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Research Institution | Interantional College for Postgraduate Buddhist Studies |
Principal Investigator |
落合 俊典 国際仏教学大学院大学, 仏教学研究科, 教授 (10123431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 栄慶 京都国立博物館, 学芸課保存修理指導室, 室長 (20175764)
梶浦 晋 京都大学, 人文科学研究所附属漢字情報研究センター, 助手 (80293950)
後藤 昭雄 大阪大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80022284)
辛嶋 静志 創価大学, 国際仏教学高等研究所, 教授 (80221894)
衣川 賢次 花園大学, 文学部, 教授 (20161523)
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Keywords | 金剛寺 / 安世高 / 十二門経 / 安般守意経 / 一切経の画像デジタル化 / カラー画像データ / 平安写経 / 鎌倉写経 |
Research Abstract |
平成14年度における「金剛寺一切経の基礎的研究と新出仏典の研究」の研究活動は、前年度に引き続き(1)金剛寺一切経の法量調査、(2)安世高訳『十二門経』・『安般守意経』の注釈的研究、(3)金剛寺一切経のデジタル化作業の三分野に分けて実施した。 (1)については、延べ日数19日の現地調査を行い約1100巻の経巻の法量を測り調査カードを作成し、順次データ化した。また『大正蔵』との校勘も200巻前後行った。 (2)については、4回の研究会を開き読解に努めた。その結果デレアヌ、ザケッティー両氏は12月タイ・バンコクで開催された国際仏教学会で成果を発表するに至った。今年度の研究の進展によって新出『安般守意経』に対する疑義は完全に払拭され、さらに安世高の漢語能力まで推察することが可能となった。しかし伝来に関する謎は徹底的な調査研究にも関わらず解明の糸口すら見出されていない。もっとも『十二門経』関連経典の『禅数雑事』が隋代に書写され、『大周録』にも書名が見えることなどが分かってきていることから今後の解明に役立つのではないかと期待している。 (3)については数百巻の経巻をデジタル化し、合計500巻に達した。これは当初の計画からすると大幅に遅延を来たしているが、カラー画像データの情報量の処理能力がハード面で遅れていることが原因である。しかしIT技術の急速な発展により作業環境は良好になりつつある。 以上の調査ならびに研究によって一段と当該研究の進展が見られ、平安時代末期から鎌倉時代の書写である金剛寺一切経の藍本の系統は奈良写経を中心にしていることが明白となった。そのことにより金剛寺一切経が将来の文献学的研究に大きく寄与することを確信するに至った。
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Research Products
(20 results)
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[Publications] 落合 俊典: "『大安般経』と『小安般経』"印度学仏教学研究. 51巻1号. 31-36 (2002)
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[Publications] 落合 俊典: "李盛鐸旧蔵開元廿二年写『法花行儀』初探"『草創期の敦煌学』(知泉書館). 203-224 (2002)
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[Publications] 落合 俊典: "『呪賊経』流伝"『鎌倉仏教の思想と文化』(吉川弘文館). 271-288 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "漢詩文家としての道真"国文学解釈と鑑賞. 67-4. 56-61 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "『管家文草』散文篇の基礎的考察"日本歴史. 652. 11-23 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "尚歯会の系譜"和歌を歴史から読む. 49-70 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "本朝文粋抄一 清慎公の先帝の奉為に諷誦を修する文"アジア遊学. 41. 145-152 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "本朝文粋抄ニ 右近中将宣方の為の四十九日の願文"アジア遊学. 42. 158-167 (2002)
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[Publications] 落合 俊典: "『呪賊経』流伝"『鎌倉仏教の思想と文化』(吉川弘文館). 271-288 (2002)
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[Publications] デレアヌ フロリン: "Some Remarks on the Textual History of the Sravakabhumi"国際仏教学大学院大学研究紀要(鎌田茂雄教授追悼号). 5. 120-164 (2002)
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[Publications] 石井 米雄: "タイ国王をめぐる言説"岩波講座 天皇と王権を考える. 5. 297-318 (2002)
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[Publications] 桜井 万里子: "史料としての古典文献"西洋古典学研究. 51. 114-121 (2003)
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[Publications] 田辺 和子: "Some Remarks on the Stories Beginning with the Word Bhutapubbam"森 祖道博士頌寿記念・仏教学インド学論集. 43-53 (2002)
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[Publications] 岡田 真美子: "バーチャル・コミュニティの居住感性-ITエコマネー実験を通してまちづくりを考える"感性哲学. 2. 99-116 (2002)
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[Publications] 岡田 真美子: "東アジア的環境思想としての悉有仏性論"木村清孝博士還暦記念論集. 355-370 (2002)
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[Publications] 岡田 真美子: "少し坂道!-少子環境に向かって"月刊『在家佛教』. 10月. 13-15 (2002)
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[Publications] 堀 伸一郎: "Gandavyuha-Fragmente der Turfan-Sammlung"国際仏教学大学院大学研究紀要(鎌田茂雄教授追悼号). 5. 99-118 (2002)
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[Publications] 今西 順吉: "漱石全集 第3巻 (第2版)注解"岩波書店. 55 (2002)
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[Publications] 後藤 昭雄: "孝子伝注解"汲古書院. 546 (2003)
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[Publications] 宇都宮啓吾, 阿部泰郎, 岡田三津子(共著): "磯馴帖"「日本書紀巻第一、第二聞書」(多和文庫蔵). 1021 (2002)