2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12305050
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 崇 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20112360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 悦郎 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (70312650)
葛西 栄輝 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (50134044)
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Keywords | ダイオキシン類 / クヌッセンセル / 蒸気圧 / 有機ハロゲン化合物 |
Research Abstract |
本研究の目的は、測定例が非常に少ないダイオキシン類の低温における蒸気圧の精密測定とダイオキシン類と種々の酸化物との反応速度、機構を明らかにすることである。 本年度は、初年度に開発したクヌッセンセル熱重量質量分析システムを用いて、ダイオキシン類の低温における蒸気圧を測定した。用いたクヌッセンセルはアルミニウム製で、セルの肉厚は0.1mm、内径は4.4mm、高さは4.6mmである。セル上蓋のオリフィスのサイズは0.05、0.10、0.15、0.20mmと4種類のものを用いた。まずはナフタレンの蒸気圧の測定を行い、信頼のおける文献値と比較することにより本研究の測定法の精度を確認した。その結果、開発したクヌッセンセル熱重量質量分析システムにより十分に精度良く蒸気圧が測定できることが確認された。 ダイオキシン類に関しては、DD、DF、OCDDおよびOCDFについて21℃から230℃の間で蒸気圧を測定した。測定時に質量分析計にてダイオキシン類が分解しないことを確認した。本研究以外のダイオキシン類蒸気圧の系統的な研究はRordorf^<1)>によるもののみである。Rordorfは飽和ガス流法で測定しているが、ダイオキシン類のような難揮発性物質に対してはクヌッセンセル法の方が適している。DDおよびDFに関しては、室温ではRordorfの結果と良く一致していたが、温度の上昇とともに本測定値の方が若干低くなっていた。OCDDおよびOCDFに関しては、本測定値とRordorfの値は測定温度範囲が異なるものの温度変化に対してほぼ同一線上に乗っていた。 クラウジウスークラペイロンの式を用いて、蒸気圧と温度の関係より昇華のエンタルピーを導出した。本研究の昇華のエンタルピーはRordorfの値より10〜20kJ/molほど低かった。 来年度は、臭素系を含めた他のダイオキシン類異性体の蒸気圧測定および分子軌道法計算による熱力学諸量の決定、さらにダイオキシン類と種々の酸化物分解触媒との反応機構の調査を行う。 1)B.F.Rordorf, Thermochemica Acta, 112(1987), 117-122.
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