2001 Fiscal Year Annual Research Report
放射線被曝によるヒト臓器・組織障害とその予防・治療に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12308029
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野村 大成 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90089871)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 裕夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20237275)
本行 忠志 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (90271569)
杉山 治夫 大阪大学, 医学部, 教授 (70162906)
梁 治子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90301267)
|
Keywords | 放射線ヒト臓器・組織障害 / 重度複合免疫不全マウス / ヒト臓器・組織置換マウス / ^<137>Csガンマ線 / ヒト甲状腺障害 / 放射線ヨード / ヒト甲状腺ホルモン分泌能 / 超臨界事故 |
Research Abstract |
東海村における超臨界事故以来、最新の科学技術を用いた放射線人体障害の把握と治療法の開発の必要性が再認識されている。13年度は計画通り、ヒト甲状腺、ヒト骨髄置換改良SCID(重度複合免疫不全)マウスを大量作製し、放射線や放射性物質を作用させ、ヒト放射線障害の発生と治療について集中的に研究を行った。 1.ヒト臓器・組織置換マウスの作製:頭頚部がん患者(60才前後)より、治療上やむ得ず切除された正常甲状腺組織と異なり、Graves病患者甲状腺は、若年のものが多く、ヒト甲状腺刺激ホルモン(TSH)の連続投与も不必要な上、多くの組織が供与されるので、この方法を用い大量のヒト甲状腺置換マウスを作成した。また、ヒト骨髄移植不成功例のヒト骨髄細胞を許可を得て用いた(野村、中島、杉山)。 2.放射線急性障害の誘発と治療:ヒト甲状腺移植SCIDマウスに^<137>Csガンマ線(1199と0.23mGy/min)1Gy、および^<131>I(マウス当たりO.5MBq)を週1回連続照射、あるいは投与した。その結果、甲状腺濾胞の消失、甲状腺ホルモン分泌能の低下が、有意にみられた。しかし、低線量率照射では、対照群に対し、低下はわずかであった。ヒト骨髄置換SCIDマウスに^<137>Csガンマ線を照射し、ヒト白血球の減少と二重鎖切断修復能を欠くSCIDマウスの白血球減少を比較したところ、SCIDマウス白血球の激減がみられた(杉山、梁)。 3.放射線晩発障害の誘発:ヒト甲状腺移植SCIDマウスに^<137>Csガンマ線1Gy,^<131> I0.5MBqを1年以上、毎週照射、投与しているが、発がんに至っていない。しかし、p53,c-kit遺伝子の変異が・有意に検出された。RET, k-ras, β-cateninの遺伝子の変異はなかった。低線量率照射では、33Gy照射まで全く変異は検出されていない(野村、本行)。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] Nakajima, H., et al.: "Anomalous(preduodenal)portal vein ; an autosomal recessive mutation in AKR/J mice."Comp. Med.. 51. 22-25 (2001)
-
[Publications] Nair, C.K.K., et al.: "Radioprotectors in Radiotherapy."J. Radiat. Res.. 42. 21-37 (2001)
-
[Publications] Yoshii, T., et al.: "Galectin-3 maintains the transformed phenotype of thyroid papillary carcinoma cells."Intl. J. Oncol.. 18. 787-792 (2001)
-
[Publications] Nomura, T.: "Dose and dose rate effect in mutagenesis, teratogenesis an carcinogenesis"Radiation and Homeostasis. (in press). (2001)
-
[Publications] Baskar, R., et al.: "Spontaneous and radiation induced tumorigenesis in p53 deficient mice."Radiation and Homeostasis. (in press). (2001)
-
[Publications] Taniguchi, E., et al.: "Effects of N-methyl-N'-nitro-N-nitrosoguanidine on the human colorectal polyps consecutively maintained in SCID mice."Cancer Lett.. (in press). (2002)
-
[Publications] Nomura, T., et al.: "Radiation, Health and Environment"Narosa Pub. Co. (in press). (2001)