2001 Fiscal Year Annual Research Report
8―17世紀の東アジア地域における人・物・情報の交流―海域と港市の形成、民族・地域間の相互認識を中心に―
Project/Area Number |
12309001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村井 章介 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (30092349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊見山 和行 琉球大学, 教育学部, 助教授 (40211403)
石井 正敏 中央大学, 文学部, 教授 (10107469)
佐伯 弘次 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 助教授 (70167419)
鶴田 啓 史料編纂所, 助教授 (10172066)
藤田 明良 天理大学, 国際文化学部, 助教授 (50309514)
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Keywords | 倭寇 / 港町 / 市舶司 / 観音信仰 / 媽祖信仰 / 唐人・唐人町・唐船 / キリシタン / 禅宗 |
Research Abstract |
1,研究活動全体の概要 本年度は、各班ごとに研究活動を深化させることに重点を置き、それぞれに調査巡検や研究会を行なった。活動の概要は以下の通り。詳細は本研究グループのホームページ(http://www.1.u-tokyo.ac.jp/〜phase817/)を参照。 2,各班ごとの活動状況 第1班「対馬・博多と日朝関係」では、中世・近世日朝関係における外交・貿易・漁労活動・対外戦争の実態を研究するため、韓国南部沿岸一帯を現地踏査した(6月中旬)。主な踏査地は、中世倭人の出漁地であった巨文島(全羅南道麗水市)、倭人居留地であった薺浦(慶尚南道鎮海市)、朝鮮侵略時の小西行長軍の駐屯地であった熊川(同)、近世倭館が所在した釜山市である。上記史跡を探索するほか、現地で簡単な研究会を催した。 第2班「使節・巡礼僧」では、1072-73年に入宋した日本僧成尋の日記『参天台五臺山記』をテーマに、本科研グループ外部の研究者をも招き、7月21日、中央大学市ヶ谷キャンパスにて研究報告会を開催。10月上旬には、五島列島の福江島・奈留島・若松島・桶島・中通島・小値賀の港湾・遺跡・寺院・博物館などを巡り、古代〜中世における海外交渉に関する調査を行なった。 第3班「琉球ネットワーク論」では、まず東洋文庫所蔵の地誌類を中心に福建省沿岸地域の地図類の調査・収集を行なった。次に、琉球および倭寇と関係の深い中国福建省福州・泉州の現地調査を敢行(10月下旬)。現地では、琉球朝貢使節および冊封使関連遺構、倭寇防御施設跡などを調査した。福建師範大学では琉球・朝鮮関連史料を確認することができた。 第4班「倭寇・キリシタン班」は、昨年度実施した国内調査(薩摩半島中心;五島列島中心)について成果を取りまとめつつ、来年度11月に実施予定の台湾調査を計画立案中である。 第5班「世界観・自他認識論」では、国内調査を積極的に行なった。京都大学・妙心寺麟祥院・龍谷大学図書館・名古屋蓬左文庫(11月下旬)・神戸市立博物館・天理大学天理図書館(1月中旬)において、ヨーロッパ・東アジア・日本で作られた絵地図類を多数調査、とくに朝鮮で完成されたと思しい「混一疆理歴代国都図」系世界図を中心に、貴重な地図を閲覧調査する機会を得た。またそれぞれの調査に際して、研究会も行なった。
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Research Products
(33 results)
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[Publications] 村井 章介: "The Boundaries of Medieval Japan"ACTA ASIATICA. 81. 72-91 (2001)
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[Publications] Kenneth R. Robinson: "The Haedong Chegukki (1471) and Korean-Ryukyuan Relations, 1389-1471 : Part II"Acta Koreana. 4. 115-142 (2001)
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[Publications] Kenneth R. Robinson: "Treated as Treasures : The Circulation of Sutras in Maritime Northeast Asia from 1388 to the Mid-Sixteenth Century"East Asian History. 21. 33-54 (2001)
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[Publications] 金 東哲: "十七〜十九世紀の釜山倭館周辺地域民の生活相"年報都市史研究. 9. 93-100 (2001)
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[Publications] 佐伯 弘次: "蒙古襲来と中世都市博多"歴史評論. 619. 55-65 (2001)
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[Publications] 佐伯 弘次: "軍事的拠点としての中世箱崎津"博多研究会誌. 9. 33-36 (2001)
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[Publications] 関 周一: "対外関係史研究と歴史教育・覚書"日本史学集録. 24. 39-50 (2001)
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[Publications] 関 周一: "唐物の流通と消費"国立歴史民族博物館研究報告. 92(未定). (2002)
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[Publications] 伊藤 幸司: "中世後期における対馬宗氏の外交僧"年報朝鮮学. 8(未定). (2002)
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[Publications] 石井 正敏: "寛平六年の遣唐使計画と新羅の海賊"アジア遊学. 26. 39-49 (2001)
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[Publications] 西尾 賢隆: "五島美術館蔵「山門疏」考"日本歴史. 638. 66-75 (2001)
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[Publications] シャルロッテ・フォン・ヴェアシュア: "九世紀日本の情報輸入体制"アジア遊学. 26. 50-66 (2001)
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[Publications] 原 美和子: "勝尾寺縁起に見える宋海商について"学習院史学. 40. 32-49 (2002)
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[Publications] 原 美和子: "成尋の入宋と源隆国の説話集編纂"アジア遊学. 37(未定). (2002)
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[Publications] 榎本 渉: "順帝朝前半期における日元交通"日本歴史. 640. 18-34 (2001)
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[Publications] 榎本 渉: "日本遠征以後における元朝の倭船対策"日本史研究. 470. 58-82 (2001)
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[Publications] 榎本 渉: "明州と東シナ海交易圏"歴史学研究. 756. 12-22 (2001)
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[Publications] 真栄平房昭: "沖縄研究の視点とアジア貿易"環. 6. 152-162 (2001)
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[Publications] 真栄平房昭: "トカラ海域史の視点"東北学. 5. 174-185 (2001)
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[Publications] 藤田 明良: "朝鮮半島周辺海域の鰭脚類-朝鮮の古文献のニホンアシカとゴマフアザラシ"野生生物保護. 6巻2号. 51-67 (2001)
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[Publications] 藤田 明良: "島嶼から見た朝鮮半島と他地域の交流-済州島を中心に"青丘学術論叢. 19. 7-131 (2001)
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[Publications] 橋本 雄: "書評:李領著 倭寇と日麗関係史"歴史学研究. 758. 54-57 (2002)
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[Publications] 橋本 雄: "書評:ブルース・バートン著 日本の境界-前近代の国家・民族・文化-"歴史学研究. 760. 52-55 (2002)
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[Publications] 橋本 雄: "遣明船の派遣契機"日本史研究. (未定). (2002)
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[Publications] 伊川 健二: "戊子入明記に描かれた遣明船"古文書研究. 626. 62-79 (2001)
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[Publications] 橋本 雄: "永正度の遣明船と大友氏-警固・抽分・勘合から-"九州史学. 130(未定).
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[Publications] 王 勇: "奈良・平安期の日中文化交流 ブックロードの視点から"農山漁村文化協会. 434 (2001)
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[Publications] 石井 正敏: "日本渤海関係史の研究"吉川弘文館. 663 (2001)
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[Publications] 大石 直正: "周縁から見た中世日本"講談社. 408 (2001)
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[Publications] 伊藤 幸司: "中世日本の外交と禅宗"吉川弘文館. 360 (2002)
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[Publications] 尾本 恵一: "海のアジア(5)越境するネットワーク"岩波書店. 282 (2001)
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[Publications] 明治維新史学会: "明治維新とアジア"吉川弘文館. 264 (2001)
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[Publications] 石澤 良昭: "岩波講座東南アジア史(2)東南アジア古代国家の成立と展開"岩波書店. 320 (2001)