2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12356008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小沼 操 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (70109510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (90250498)
畠山 英樹 バイエル株式会社, 研究開発事業部, リーダー
杉本 千尋 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (90231373)
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Keywords | マダニ / ダニワクチン / 節足動物媒介感染症 / 組換え抗原 / 吸血阻害 |
Research Abstract |
ダニ類は熱帯から温帯にかけて広く分布しており多くの動物に被害を与えている。ダニの吸血を介して伝播する感染症(ダニ媒介性感染症)の制圧には抗ダニ剤が用いられているが、耐性ダニの出現ならびに薬剤散布による環境への影響が心配されている。これにかわる方法として宿主にダニ抵抗性を賦与し、ダニの吸血を阻害することにより感染ダニからの病原体の伝播を阻止する方法がある。 本研究はダニ由来の有効成分を固定し、ダニの吸血を阻害するダニワクチンの開発を目指すものである。方法としてダニの頻回吸血によりダニの吸血に対して抵抗性となったウサギの血清(抗ダニ血清)を用いダニ分子を検出した。その結果、これまでに抗ダニウサギ血清が認識するダニ唾液腺由来の分子としてp29分子を検出した。このp29をウサギに免疫しておくと幼ダニと若ダニの吸血阻害がみられたが成ダニの吸血は阻害できなかった。そこで今回ダニの唾液由来のp29以外の分子で成ダニにも有効な分子の検索を行った。その結果2つの候補遺伝子HL34とHL35が検出された。これらの遺伝子の組み換えタンパク質を調整し、ウサギに免疫しダニの吸血阻害実験を行った。その結果、HL35についてはワクチン効果が認められなかったが、HL34は若ダニおよび成ダニに対して顕著なワクチン効果を認めた。HL34mRNAの発現はダニの唾液腺、中腸をはじめ全身組織で確認された。HL34タンパク質は幼、若、成ダニのすべてのステージのダニとも反応していたことから有効な抗ダニワクチン抗原として期待される。
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[Publications] Mulenga A.et al.: "Issues in tick vaccine developmet : identification and characterization of potential candidate vaccine antigens."Microbes and Infection. 2. 1-9 (2000)
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[Publications] Mulenga A.et al.: "Characterization of an 84 kDa protein inducing an immediate hypersensitivity reaction in rabbits sensitized to Haemaphysalis longicornis ticks."Biochemica et Biophysica Acta. 1501. 219-226 (2000)