2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12359001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下瀬川 徹 東北大学, 大学院・医学(系)研究科, 教授 (90226275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 英夫 理化学研究所, 工学基盤研究部, 部長 (90124370)
今谷 晃 東北大学, 保健管理センター, 助手 (30333876)
朝倉 徹 東北大学, 大学院・医学(系)研究科, 助手 (20272023)
會澤 勝夫 東京医科大学, 第2生理学, 教授 (40074645)
佐藤 英俊 理化学研究所, 工学基盤研究部, 研究員 (10300873)
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Keywords | ラマン分光 / チタンサファイアレーザー / 生体分光 / 光線力学的治療 |
Research Abstract |
新開発の電子制御波長可変チタンサファイアレーザーにラマン散乱光の分光システムを組み合わせ、生体組織の基本的な分光スペクトルの測定を試みた。基礎実験としてマウスの胃、小腸、大腸組織のラマン分光の測定を行った。励起波長として720,800,850nmを用いた。(1)800nm励起・・・小腸粘膜側のラマンスペクトルにおいて、1668,1455,1307,1270cm^<-1>のバンドはそれぞれ蛋白質のアミドI、CH偏角振動、アミドIII、アミドIIIモードに帰属できた。1008,881,856,758,492cm^<-1>のバンドはそれぞれフェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、トリプトファン、およびS-S結合のバンドに帰属できた。2940cm^<-1>付近にCHの振動が観察された。粘膜側の計測では脂質のバンドの影響がほとんど観測されないことが実証された。スペクトルと組織の関係を調べる目的で重回帰分析(PCA)によるクラスタリングを試みたが、どの成分も組織の違いを明確に現す指標にはなり得なかった。(2)850nm励起・・・ほとんどバンドの特徴は800nm励起時と同様で胃腸正常組織においては非常に似たスペクトルを示した。 次に光線力学的消化管腫瘍の治療についての基礎検討を行った。自然発症大腸癌モデルマウス(APCノックアウトマウス).にNpe6(mono-L-aspartyl chlorin e 6)5mg/kgを尾静脈より静注し、波長664nmで励起した蛍光顕微鏡画象を観測した。Npe6投与後、2〜6時間で蛍光強度の強度は腫瘍部で正常部より有意に高い結果であった。また治療効果判定のため、Npe6投与後2時間後に671nm,50Jを回腸末端部分に照射し、48時間後取り出した照射部位を固定し標本を作成、HE染色にて組織の変化を観察した。非腫瘍部の粘膜に炎症細胞浸潤を軽度認めたが、粘膜の脱落、壊死などは観察されなかった。腫瘍部位は特に腫瘍表面部を中心に細胞の空胞変性を認め、治療効果があるものと考えられた。
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