2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12410016
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
根岸 一美 大阪大学, 文学研究科, 教授 (80097956)
|
Keywords | 宝塚少女歌劇 / ヨーゼフ・ラスカ / 宝塚交響楽団 / 日本組曲 / ウィーン市立州立図書館 |
Research Abstract |
1923年から1935年まで関西に在住し、宝塚少女歌劇の管弦楽団員たちと共に宝塚交響楽団を創設、定期演奏会活動を精力的に展開したラスカと宝塚交響楽団についての研究において、当初提出した実施計画に基づき、主に以下の仕事を行った。 1)すでに昨年度の補助金により、管弦楽作品である《日本組曲》の演奏を開始していたが、その録音をもとに6月にCDの制作を行った。またほぼ同時期に女声合唱とピアノとヴァイオリンのための《詩編第13篇》についても演奏とCD化を行った。これらについては大阪大学の音楽学専攻大学院生や大阪教育大学音楽科の大学院生等、演奏能力をもつ多くの人々の協力を頂くことができた。2)次に、8月下旬に千葉市幕張で開催された第15回国際美学会議において「Joseph Laska und seine in Japan geschriebenen Musikwerke」(ヨーゼフ・ラスカと日本で書かれた彼の音楽作品)と題するドイツ語の研究発表を行い、ラスカ作品の様式的な基礎を考究するとともに、彼の作品が今日十分に受容される価値を有していることを論じた。また日本語による同一内容の発表を1O月に早稲田大学で開かれた第52回美学会全国大会で行った。3)そして、平成14年2月にウィーンとリンツの関係図書館等を訪ね、今まで十分に扱うことのできなかった第二次世界大戦中の作品や戦後の作品の自筆譜等資料の複写と撮影を行い、曲頭の譜例を含む全作品主題目録の作成を開始した。しかしラスカ研究が真に軌道に乗るためにはまだまだ処理すべき仕事が多く、とりわけウィーン市立州立図書館音楽資料室所蔵の自筆譜については、さらなる調査ならびに収集が必要である。また、これらの楽譜資料の演奏と録音は費用も時間もかかる仕事であるが、音楽の実像を得るために、引き続き実施してゆく必要がある。なお、当初の計画で触れたウィーン大学音楽学研究室には、ラスカ関連資料がほとんど無いことが判明したので、付記しておく。
|
-
[Publications] 根岸一美: "ラスカの《日本組曲》"CD NEGIP-2001添付解説書. 1-5 (2001)
-
[Publications] 根岸一美: "辞典項目「ブルックナー」、「ラスカ」"新編音楽中辞典(音楽之友社). 604-605,729 (2002)