2001 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期における情動制御機能の発達とその病理に関する基礎研究, -満期産健常児と早産児の比較を通して-
Project/Area Number |
12410023
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陳 省仁 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (20171960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 信子 北海道浅井学園, 短期大学部, 助教授 (20320575)
高谷 理恵子 福島大学, 教育学部, 助教授 (90322007)
氏家 達夫 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 教授 (00168684)
金沢 創 淑徳大学, 社会学部, 講師 (80337691)
|
Keywords | 情動制御 / 泣き / 喜び / 家庭訪問 / IBQ / 顔認知 / 全身運動 / 怒り |
Research Abstract |
1.生後2カ月から7カ月までの間、家庭において対象者の情動表出などの特徴について以下の資料収集を行った : (1)子どもの泣き、怒り、喜び及び注意(2)自由遊び(3)短期母子分離(4)養育者の子どもの情動表出特徴に関する評定(IBQ)(5)日常の情動的葛藤場面への養育者の対処の特徴。初歩分析の結果 : (1)観察初期における情動表出に関する個人差(頻度、持続時間、表出スタイル)は徐々に収斂する傾向にある(2)個人内の変化のパターン化が観察された(3)養育者の評価にも類似した傾向が見られた(4)情動的葛藤場面への対応は養育者の情動・行動特徴と関連する。子どもの情動表出の特徴は子どもの安静時の全身運動などの運動の特徴と関連があると予想される。また、子どもの注意の特徴は養育者の子どもの状態へのモニタリングや子どもの注意に関する「調教」と関連し、6,7カ月時の情動制御と関連すると思われる。 2.生後2カ月時から寝返るまでの期間、対象児の仰臥位における全身運動を養育者の声かけ有りと声かけ無しの条件で観察を行った。(1)養育者の声かけによて、周期性の運動が出現し、3,4カ月から声かけに応じて運動が抑制できるようになる(2)運動に関する子どもの個人差及び養育者の声かけの効果に関する個人差が見られた。これらの発達的パターンは子どもの情動表出のスタイル及び養育者の情動的場面での対処の仕方と何らかの関連が見られると予想される。 3.生後3カ月から対象児の同居家族の顔認知の観察が行われてきた(生後10カ月まで継続の予定)。同居家族の正面写真から幾つかの「平均顔」と「強調顔」(母親非強調顔(M50)・母親顔(M100)・母親強調顔(M200)を画像処理によって実験刺激を作成し、家庭にて実験観察を行い、対象児の顔刺激に対する注視の有無と注視の持続時間を記録した。結果として、乳児は母親顔よりも平均顔を好む傾向を示す。これらの結果と子どもの情動表出の個人差、親子の情動制御の特徴との関連が予想される。
|