2002 Fiscal Year Annual Research Report
健常乳幼児と発達障害児における「心の理解」の発達と援助プログラムの開発
Project/Area Number |
12410033
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長崎 勤 筑波大学, 心身障害学系, 助教授 (80172518)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 信也 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (60251005)
池田 由紀江 筑波大学, 心身障害学系, 教授 (00015843)
|
Keywords | ゲーム / ルール / 意図理解 / 幼児 |
Research Abstract |
ルールを本質的に理解しゲームや日常生活における活動に参加するためには、場面に応じた行動を形成するだけではなく、他者に関心を持って行動できるよう促していくことが必要である。そこで、健常児におけるルール理解と対人行動がどのように関連しているかを分析するために、生活年齢1歳1ヶ月から5歳0ヶ月までの健常幼児31名(1歳児群7名、2歳児群8名、3歳児群8名、4歳児群8名)に対し、積み木積みゲームにおけるのルール理解と他者への関心について観察を行なった。その結果、(1)順番や勝敗といったルールや相手の表情にはあまり関心をもたず、相手と並行して遊ぶ段階(1歳代)、(2)ルールの理解は難しいが、他者と共有すべきルールの存在に気づき、他者の意図に関心をよせてルールを推測し遊ぶ段階、(2歳代)、(3)ゲーム本来のゴールやルールを理解し、他者と一緒に遊ぶ段階(3歳代以降)という順序で発達が進んでいくと考えられ、他者の行為および意図への関心がルール理解の基盤である可能性が示された(第一研究)。 さらに、ルールにあわせて他者と遊ぶことに困難を示す広汎性発達障害児1名(指導開始時CA5:00新版K式発達検査:DA2:10)に対し、社会的ゲーム場面を用いて、ルール理解の基盤としての他者への関心を促す指導を行なった結果、健常児とほぼ同様の発達経過が示された。一方で、広汎性発達障害児は、異なる意図を他者と共有・維持しようとする意識やその作業自体に弱さがある可能性が示された(第二研究)。
|
-
[Publications] 吉井勘人, 長崎勤: "自閉症児に対する相互的コミュニケーション指導-共同行為フォーマットと情動共有の成立を通して-"心身障害学研究. 26巻. 81-91 (2002)
-
[Publications] 小野里美帆, 長崎勤: "自閉症幼児に対する「指さし理解」の指導-「宝探しフォーマット」による指導と家庭課題を通して-"心身障害学研究. 26巻(印刷中). (2003)
-
[Publications] 長崎勤, 古澤頼雄, 藤田継造: "臨床発達心理学概論-発達支援の理論と実際-"ミネルヴァ書房. 327 (2002)